※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 続きです。今日で終わり。 3
とても正気ではいられなかった。合宿所では、孤立している。覚悟の上のことだが、こうして触れ合う岬は暖かくて、優しくて、懐かしい。 まさか、この俺が岬を泣かせることになるとは思わなかった。 「悔しい・・」 搾り出すような声が、俺の胸に突き刺さる。 「そんなんじゃ僕が合流した意味がない・・」 治りかけた頬の傷よりも、今胸についた傷の痛みが激しい。たまらなくなって、岬を抱きしめた。 「ばか・・」 岬が言うのも無視して、めちゃくちゃに抱きしめた。
誰にも愛されなくていい。
そう思っていたのに、岬は側にいようとしてくれるらしい。感じた途端、全身に熱い衝動が走った。 俺の中で、目を背けようと、閉ざしていた部分が、融ける。融けてしまう。
「離して」 「離すもんか」 心の中でせき止めていたものが、溢れている。 孤独であっても、道化は演じられるのに、お前の前では心を隠すことさえ出来ない。 「やっ・・・」 まだ涙の味の濃い舌を嘗めた。岬の涙を見せられて、俺が正気でいられるはずもなかった。こんなはずじゃなかった。飄々と悪役を演じて、辛くなんかないはずだったのに。 「ん・・っ」 ついばむようなキスと、貪るようなキスで代わる代わる奪う。息すらつかせず、味わうというよりは、唇を犯す。 掴んでいた腕が緩んだ隙に、岬は俺の手を振りほどいた。そして、じっと俺を見る。まだほんのり赤い目で、俺を凝視した。 「・・・気が済んだ?」 泣かれるのも辛いが、突き放されるのも愉快ではない。俺がへそを曲げる前に、岬は俺の首に腕をまわした。 「ごめんね、何もしてあげられない」 岬に何かしてもらおう、なんて思ったことはない。側にいて、笑ってくれていればそれで良かった。お前を照らす空が晴れていれば、それで。 「なあ、岬」 「なあに、若林くん?」 側に乗っている岬を、抱き上げて膝に乗せる。気遣うように、振り返る岬の肩に、のしかかるように寄り掛かる。 「やっぱり俺はお前が好きだ」 こんなに、抱き込んでしまえるほど小さいのに、岬は俺を包んで癒してくれる。
「それなら、もう少し心配させないでほしいんだけど」 お小言を頂戴した。小さな柔らかい手が、俺の頭を撫でる。目の奥がじわっと熱くなる気がして、その手を掴んでキスした。
(おわり)
拍手ありがとうございます。
リンク先様の日記を拝見し、自分も岬くんを泣かせてみようかと企んでみました。(出来心でした) 岬くんはあまり泣かないイメージです。ただ、人の為なら、他愛のないことでも、無力感や悔しさで泣きそうだな、と思ったらこんなことに。 最初はGOLDENで書き始めたのですが、自分が耐えられなくなってこちらで。(あちらでも、もう既に何度か泣かせていますし)
こんなに時間かかるとは。もう少し計画的に書こうと思いましたよ。(すぐに破綻するのですが)
あと、書き始めたら14歳の若林くん、という方が楽しくなってしまいました。 普段、どうしても大人に書いてしまうのですが、若林くんとて人の子。 若い、というよりは子供だよね・・・なんて考えたら、どんどん動きが衝動的に。 最初考えていたのと違う違う。若林くんを泣かす企画、に変わっていたのでした。
とりあえず、いつものように謝り逃げておこう。すみません!
以下、拍手お礼: おなじみのCさま。 こちらこそ、本当にご無沙汰しておりまして、申し訳ないです。 いざ再開すると、やりたいことだらけになってしまうのは相変わらずです。 自分にブレーキをかけるのか、折り合いをつけるのか、本当に難しい。 ご自分のペースで、長くやっていらっしゃる方って、尊敬してしまいます。 お越しいただいて、本当にうれしかったです。 また、お邪魔させていただきますね。
さざえ様、いつもありがとうございます。今日明日はPC開けないので、それ以降に対応させて頂きます。 あと、源岬的解釈もありがとうございました。本当にその通りですよね。「若林くん家に宿泊」私もその解釈ですとも!
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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