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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
十年後(4)
※二次創作です。色々ごめんなさい。

昨日の続きです。

 うまい、と思う。若林が見た中では、間違いなく最高クラスのMFだった。
 無敵のこのチームも、FWばかりが走っている、と陰口を叩かれたこともある。実際、若林の存在がなければ翼のワンマンチームだったに違いない。
「岬くーん」
早速、くん呼ばわりな翼のことを差し引いても、すぐにでも欲しい選手だった。翼のように目を引く訳ではないが、目を離せなくなるプレーをする。
「高杉、チェック!石崎、マーク!」
てきぱきと指示を送る若林に、岬は翼へのパスを手近の来生宛に切り替えた。来生がトラップするのを見越して、通り過ぎざまにボールを奪い取る。そして、翼のマークの石崎の注意が離れた隙に、パスを送る。
「いけっ!」
翼のシュートに、若林が素早く反応した。シュートを蹴るのは翼なのは予測できていた。まさか、それが。
「!」
翼のシュートを頭で押し込みに来た岬に反応が遅れた。サッカーできるのか、とか、部室で着替えられたら白さが目に残ってしまう、なんて思ったことを後悔させる展開に、それでもボールに反応する辺りは若林の面目躍如である。
「あっ!」
岬が身体をねじって反対側の隅に飛ばしたボールを視界の端に見ながら、若林は岬ともつれ合って倒れた。岬の身体の上に倒れたのを気にして、頭だけは保護するように腕をまわした若林だったが、その結果、完全に抱きしめる体勢で着地してしまうことになった。
「大丈夫か?」
慌てて身を起こそうとした若林だったが、つい視線を落とすと、滑らかな首筋や鎖骨が目の前にあり、一瞬見惚れた。
「ごめん、かばってくれなかったら、阻止できたよね」
声をかけられて、若林は今度こそ身を起こした。岬の頭をかばっていた分、何秒か抱きしめるような体勢になった腕をつい、意識してしまう。
「いや、まさかあのまま突っ込んでくるとは思わなかったから・・・岬さん、是非うちの部に入ってくれ」
若林は小学中学通じて、どんな先輩にも「さん」付けなどしたことはなかった。それでも、一緒にサッカーをしたいという気持ち(あるいはリビドーの方かも知れない)が膨れ上がり、キャプテン自らの勧誘をした若林に、岬は微笑んだ。
「うん。喜んで」
岬の上気した頬はほのかに色づき、また笑顔を向けられた若林が照れたように視線をはずす。プロポーズ態の二人に、他の者達がつい遠巻きにする中、駆け寄ったのはFWの翼だった。
「おめでとう、岬くん!」
「ありがとう、翼くん」
岬と微笑を交し合いながら、鋭い牽制球を送ってくる翼に、若林は直球的挑戦的な視線を返す。
かくして、10年越しの初恋争奪戦の火蓋は切って落とされた。


(おわり)


本当にすみません。サッカーのシーンを長々と書いてしまった時点で、
大きく意図とずれました。
この岬くんは相当手ごわいと思いますので、攻略法が思いついたら、続きを書きます。

失礼しました。

from past log<2008.11.8>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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