※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 サッカー人気が上がり、各大会の代表選手の認知度が上がったタイミングで、ある商品が開発された。 スポーツ選手にとって、嬉しくも怖くもある、トレーディングカードである。
秋葉原は色々な文化の集まる場所である。トレーディングカードの専門店も少なくはない。 その一軒に足を踏み入れた二人組は、少し異様だった。 並外れた長身に加え、立派過ぎる体格の目立つサングラスの青年と、背は高いが色白の痩躯の帽子の青年。二人とも颯爽と歩いて、他のコーナーに脇目もふらずに、サッカーカードのコーナーに急ぐ。
「どんな拷問だよ」 岬は店内を廻る若林に小声で文句をつけた。 たまの休みに、東京は秋葉原の、それも自分達のカードを扱う店へ案内させられるなんて。 「だって、お前のカード、コンプリート出来てないんだぜ」 Jリーグ屈指の人気選手である岬のカードの一部は、スーパープレミア商品で、余程の専門店でしか入手できない。 「それより、見ろよ」 若林の指差したのは、50円均一コーナー。個別パックすらされていないで、ぞんざいにほうり込まれた箱には、岬の同輩達もいて。 「・・・言わないでおこうね」 人気のある岬に、見映えが良いからだと、やっかむ声がない訳ではない。若林はそのブログの選手を抹殺しようと企み、岬に止められて何とか断念した位だ。 「まあ、俺が手を下さなくても、ファンは一番知っているよな」 人気のない選手のカードは安い。需要に対して供給過剰な為だ。 一方、人気選手のカードは高値がつけられる上、売り切れることも少なくない。売る人間が少なく、また幾ら出しても欲しいと思う者が多いからだ。
若林は、岬自身値段にため息をついた、カードを買った。岬の背番号が異なるバージョンだ。 「これ、全日本ユニだから余計欲しくてな。俺はお前のファンだから」 若林が目配せを送る。岬も小さく頷く。この背番号を見ただけで、その時の試合を、思い出さずにはいられない。 若林が鍵付きのカードを出してもらう間、岬は静かに店内を見てまわった。そして、反対側のカウンターで、一枚のカードを指定する。 入口近くに飾られていた若林のカードも、サムライブルーが険しい表情を引き締めている。キーパー用のユニフォームでない為、希少価値の高い一枚だった。
でも、どうしても欲しい。同じユニフォームで、一緒に戦った記念のカード。
若林に見つからないように、買ったカードを財布にしまい、岬はそっと微笑んだ。
僕だって、君のファンだもの。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 二人にはお互いのファンでいて欲しいという思いを込めて。秋葉原取材の経験が役立った・・・はず!
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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