fc2ブログ
今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
バイキング
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 Jr.ユース大会のレセプションの料理は、ビュッフェ形式で出された。
 中学生には、ビュッフェ形式はそれこそ、宝の山のようなものだ。目の色が変わった者も少なくない。

「岬くん、は大丈夫そうだね」
ほっとした口調の三杉に、岬が怪訝な表情を返す。皿を眺められて、安堵される意味が分からない。
「・・何かあったの?」
「聞きたい?」
岬の相槌に、三杉は我が意を得たり、とばかりに話し始める。
「日向くんのお皿を見たまえ」
振り返った岬は、見てしまったことを後悔した。テーブルに山盛りの皿を置き、悦に入った表情で平らげている日向小次郎がいる。そして、せっせと皿を運ぶ東邦メンバー。
「何あれ?」
「ね?さっきはタッパーに詰めようとしていたから、阻止するのが大変だったよ」
フランスでタッパーに詰めてどうするんだろう?思わず浮かんだ疑問は、すぐに消えた。松山が駆け寄って来た為だ。
「岬、ここにいたのかよ」
「うん。松山、どうしたの?」
息を切らして駆け寄られるようなことはない。首を傾げた岬に、松山も笑顔を向ける。
「お前の分、確保したから」
ぎゅうぎゅうに詰められたタッパーに、岬は言葉を失う。松山は未だに岬が欠食児童のままだと思っているのだろうか?
「・・・それ、後で小次郎にあげてよ」
岬は足早に立ち去ると、日本チームの集まっているテーブルの側を通り過ぎようとした。
「岬さぁん」
泣き声めいた声を上げて、岬を呼び止めたのは新田である。佐野が次藤に皿を運び、タケシが日向に料理を貢いでいる中、早田に絡まれているらしい。
「早田くん、ワイン飲んだの?」
「はい。それで、どうしてたこ焼きがないのか怒ってるみたいっス」
「そんな飲んでへんて。キュッと一杯、ツマミも出さへんて、どないやねん」
この大声がナポレオン辺りに見つからなければ良いな、と岬は思った。
「チーズでも食べさせときなよ」
岬のアドバイスに、新田がそそくさと料理テーブルに走る。しかし、そこには石崎と滝・来生がスタンバイしていた。
「これは、若林さんに持って行く分だ」
「いくら若林でもそんなに食わねえだろ」
「若林さんはすげえ食うんだぞ」
皿を持ったままの新田に、じっと見られて、岬はため息をつく。三杉が疲れた顔をしていた訳だ。
「ほら、三人ともそんな所に溜まらない!」
若林の為にも、三人を散らして、交通整理をして。

 岬がデザートの皿を手にしたのは、それからしばらく経ってからだった。
 ピエールが自前のワインを勧めて来て離してくれなかったり、立花兄弟に米についての説明を求められたり。試練をくぐり抜けた岬が、ぐったりしたまま、バルコニーに出たところで、オレンジを盗まれた。
「若林くんっ!」
「しっ!」
大きな手が岬の口を塞ぎ、それから抱きすくめられる。極力一緒にならないようにしていたのに。若林自身も隠れていたのなら、避けていた意味がない。
「待ってたんだぜ」
「君こそ、修哲のみんなが探してたよ」
当然のように、皿の上のフルーツを摘み、後ろから覆いかぶさるように、抱く手を、払い除けようとする。だが、岬を抱く手はいつも通り力強くて、ちょっとやそっとでは揺るがない。
「あいつら、どんだけ食わせたら気が済むんだ」
こぼしながらも、抱く手を緩めようとしない若林を、岬は肩越しに睨みつける。
「君こそ、いつまで抱きついてるんだよ」
抗っても仕方ない、と岬は知っている。勝利の次には、愛を。岬の知る若林は貪欲な男だ。
 でも、苦言を呈さずにはいられない。手のかかるチームメイト達が、すぐ側にいるのだ。
「好きなものを取りに来たんだ。何が悪い?」
若林は悪びれることなく、甘いフルーツよりも、もっと甘くてみずみずしい唇を貪った。夜目にも白い頬が、色を含んでいく。
「なあ、抜け出そうぜ」
耳元に、熱い吐息がかかる。いつのまにか、若林の腕を抱き返していた自分に気付き、岬は目を閉じる。いつでも、奪うのは若林で、奪われることを許すのは岬。

 岬自身、頷いたのかどうかも分からぬまま、夜の闇の中にさらわれていった。

(おわり)


拍手ありがとうございます。


実は今、用事で遠出しています。
今日は銀月星夢様とデートしてしまいました。サイトの雰囲気のままの、優しくてほんわかした素敵な方でした。
 それなのに、源岬話をする時は情熱的で、二人が幸せなら良いと断言されたのも力強く、ついていきます!と思ったのでした。星夢様、ありがとうございました。また遊んでやって下さい。

お話ししていた時に、何故か思いついた話を書いてみました。まとまりはないのですが・・・。バイキングと掛けてみました。若林くんだけ、本来の意味の掠奪で。
スポンサーサイト



テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
→http://sukinamono11.blog63.fc2.com/tb.php/659-89568b99
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)