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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
奇跡
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「奇跡なんかありませんよ。地道なリハビリこそが、回復への近道です」
先生は言う。僕だってそうだと思う。だから、奇跡ではない、当然の回復の為にリハビリをする。

 若林くんにその話をした。だから、リハビリ頑張ってるよ、と告げた。
 若林くんのお見舞いを断る条件が、定時連絡だ。毎日決まった時間に、電話をかける。それまでに用事を済ませて・・と思うので、悪い習慣じゃない。
「・・・それで、何とか決勝には間に合わせるよ」
努めて明るく言ったつもりだった。でも、本当は僕の回復は思わしくない。決勝に間に合うのか、とつい不安に苛まれる。

 電話の向こうにため息が伝わったかも。心配させるのは好きじゃない。だから、明るい声を心掛けていたのに。
「なあ、岬」
若林くんが切り出したのは、そんな時だった。不意をつかれて、黙っている僕に、若林くんは優しく続ける。
「奇跡はあると思うぜ」
「えっ?」
若林くんみたいな現実的な人がそんなことを言うなんて思わなかった。

「小学生の時も、ジュニアユースの時も、お前が起こした奇跡を知ってる」
力強い声が、静かに語る。思い起こすまでもない。小学生の全国大会、ジュニアユース大会、僕は奇跡と呼ばれるプレーをした。あと一歩、を不可能じゃなくしたのは、僕の強い思いだった。

「まあ、お前と会えたの自体、俺には奇跡みたいに思うけど」

 重ねられた言葉に、頭の中で、何かが弾ける。僕にとっては、あの夏君達に会えたのが奇跡だった。二度と消えない思い出を魂にまで刻まれたから、僕は今まで走れて来た。

 走らないと。心の中のどこかに火が点いた。

「じゃあ、もう一つ奇跡を起こすよ」
僕の変化に若林くんはすぐに気づいたらしい。一拍おいて、それから優しく言ってくれる。
「ああ、楽しみにしてる。・・・無理はするなよ」
君は頑張れ、とは言わない。でも、君の声を、話を聞くと、僕の心に勇気が蘇る。
「思い出させてくれて、ありがとう」
心配性の電話を切って、もう一度リハビリルームに向かう。

 奇跡を起こすには、まず信じること!


 そして、ブラジル戦。僕は奇跡を起こした。


(おわり)

拍手ありがとうございます。
岬くんは奇跡を起こすイメージがあります。本人は複雑でしょうが。
頑張れ、と言われる辛さも言わない辛さも、二人は味わい尽くしていると思います。でも、つい言っちゃうんですよね。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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