※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 掃除をしている時にトランプを見つけた。 「じゃあ、これで今日の行動を決めようか?」 僕がトランプを差し出すと、若林くんはくすりと笑った。 「・・・何か懐かしいな。良いぜ、やろう」
トランプじゃなくても良かった。何かに一喜一憂している若林くんが見たくなった。 若林くんは自分のことを甘ったれていると評することがあるけれど、僕にはあまりその印象はない。むしろ、いつも落ち着いていて、冷静な印象がある。 そして、僕を包んでくれる情の深い人。
でも、たまには年相応になってもらうのも悪くはない。
「何する?」 「二人だからな…ポーカーしようぜ」 「うん、良いよ」
若林くんは大きな手で、器用にカードを操ると、長い指で配ってくれた。そういう動作の一つ一つに無駄がなくて、スマートだと思う。 「こっちはオープンな。岬は?」 「僕も受けるよ」 「何枚交換する?」 「2枚」 若林くんは手札を3枚交換した。多分ワンペアだと思う。僕はスリーカード。来たカードをめくっても、スリーカードは変わらなかった。 「フフン」 こう見えても僕はポーカーは強い方だ。合宿の時のおやつを何度か捻出したくらい。 とはいっても、松山や小次郎は本当に弱いので、途中からは相手にしなくなったけれど。 強いのは三杉くんと若島津。石崎くんが引きの強さは抜群だけど、それを活かせないタイプなのに対し、若島津は手が悪くても、それを相手に悟らせない。ブラフで騙された被害者は片手の指では足りない。
そして、若島津はそうやって稼いだお菓子を小次郎に貢いでしまうのだった。 もちろん中には、他の相手が小次郎から巻き上げた賞品も含まれている。
「何か楽しそうだな」 「うん、楽しいよ」 何故か、若林くんがそのゲームに加わることはなかった。だから、こうしてカードをするのは、何だか嬉しかった。 「俺も。岬が楽しそうなのが嬉しい」 耳元にキスを落とされ、僕が戸惑った隙に若林くんはカードを差し出して来た。 「勝負、な」 「うん」 若林くんの表情からは特に何も読み取れない。いつも一緒にいる時と同じように、目を細めて笑っている。 「じゃあ、僕はスリーカードね」 カードを開示した僕に、若林くんもニコニコ応じた。 「井沢、日向、翼、松山、岬。俺の勝ちだぜ」 開け方はイヤミだけど、僕のスリーカードに対し、若林くんの手札は8、9、10、11、12のストレート。僕の負けだ。 「・・・じゃあ、何する?」 掃除でも洗濯でも、手伝う気はあった。近くのサッカー場に誘ってくれたら、もっと嬉しいんだけど。 悔しいけど観念した僕に対し、若林くんは嬉しそうだ。 「とりあえず、キスしてもらおうかな♪」 「そうじゃなくて、今日の予定・・・」 言いかけた僕に、若林くんは悪びれる様子もない。 「そう、今日は俺幸せに過ごしたいなあ、と思ってさ。岬にキスして貰って。岬に好きって言って貰って」 ・・・この! 確かに僕は、素直に好きって言えない。恋愛が勝ち負けだとは思わないけれど、好きだと言うのには勇気がいる。 「人の弱みに付け込む訳?」 若林くんは、そんな素直じゃない僕を、ちゃんと理解してくれている。それでも、好きだと言ってくれる。 「そんなことないぜ。岬は俺が喜ぶの好きだろ?」 痛いところを突いてくれる。僕は若林くんの笑顔が好きだ。 怖いものなんてないみたいに、誇らしげに笑う若林くんの笑顔を見るたびに、ずっとこうやって、笑っていてくれれば嬉しいと思う。 「うん。そう思う」 笑って頷いた。また楽しそうに笑いかけて、若林くんは僕を捕まえた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 ゲームシリーズと化しています。二人が遊んでいるのって好きなんですが、サッカー以外では静かに過ごしそうなので、こういう感じに。 合宿所でのエピソードは、自己満足です。 また、その手の遊びを思いついたら書きたいです。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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