
君影草さま様にて、フリーの岬くんを連れて帰って来てしまいました。
それで、色々と妄想を。
朝から様子のおかしい若林に、チームメイトは戦々恐々としていた。今では随分丸くなったとはいえ、チーム全員とのタイマンも辞さない若林である。 若林のせいで、チームメイトの多くが、日本には未だに侍がいると信じているほど。 その彼の異変、とはニヤニヤ笑いである。普段精悍な分、その顔が笑み崩れっ放し、なのは違和感がある。 「・・・ゲンさん、何かあったのか?」 カルツですら、恐る恐る聞く腰が退けている。若林らしからぬ様子だからだ。 「ああ、昨日ちょっとイイことがあってな」 振り返る顔も、今にも鼻歌が聞こえそうだ。 「・・・エロい夢、の間違いとかじゃないんか?」 カルツの非難すら耳に入らない。
夢の中で、若林は自宅にいた。辺りを見渡すと、正月とも見紛うような支度がされている。
どうやら、旧正月らしい、と若林は踏んだ。よく見れば、節分らしい鰯や柊がこっそり飾ってある。 「若林くん、お帰りなさい」 聞き覚えのある声に、若林のスーパー聴覚が反応する。 この声はっ! 「岬っ!」 若林が振り返ると、着物姿の岬が微笑んでいた。鮮やかな振袖も、色白の岬にはよく映える。ただ、その頭の上には白いうさぎの耳が揺れている。確か、今年の干支は卯だった。
・・・って、何なんだ、これはっ!!
振袖バニー。どう見てもコスプレである。普段の岬なら、若林がたとえ土下座で頼んだとしても、拒絶しそうな姿である。 それが、今日はその衣装を身につけ、ニコニコと笑顔を惜しまない。 だから、若林は即座に結論を出した。 「これは夢だ」
そうとなれば、話は早い。 若林は向かいに座っていた岬に近づく。 「若林くん、こういうの嫌い?」 近づくと、少し恥ずかしそうに、岬は顔を伏せた。背の高さのせいで、白い襟足が目につく。 「いや、好きだぞ。似合ってる!いっそずっとそのままでも良い位だ!」 「それはちょっと困るかな」 くすくすと楽しそうな笑い声が響く。それに誘われるように、若林は岬の手を取った。 「ダメだよ、触っちゃ」 若林が引っ張ったせいで、振袖が少しズレた。白い肩を剥き出しにした岬は、慌てて着崩れを直そうとするが、若林の方が早かった。 着物の懐に飛び込んで、衿を広げる。白い首筋や鎖骨があらわになって、ますます扇情的に映る。
「岬」 背中に腕をまわして、かき抱く。若林が思うほどの手応えもなく、着物の前をはだけてしまう。 「苦労して着たのに」 「中身の方が欲しい」
唇を、当てる。甘い肌を味わう。
恥じらいながらも、岬の声が甘くなっていく。
「・・・あっ」
気がつけば、朝になっていた。若林は変な夢を見た、と首を捻りながら、手元を見る。
そういえば、岬が送ってくれた人形用の着物を、手持ちのうさぎのぬいぐるみに着せたのだった。
岬に似ている気がして、買ったぬいぐるみ。
若林が微笑んだ時、不意に、メールが届いた。送信先には岬、の名前。
「可愛い写メありがとう。今度休みが取れそうです。そっちに行けると良いんだけど。 岬」
メールの文字に、夢の余韻がフラッシュバックした。
その日一日、若林のニヤニヤ笑いは収まらなかったという。
(おわり)
拍手ありがとうございます。
はい、色々すみません。 君影草さまのアズマ様。素敵なイラストをありがとうございました。イラストを頂いて来たのに、恩をあだで返しています。
今年は2月3日が旧正月らしいので、これにしました。お正月は天皇杯、それから亜細亜杯。忙しいそうなので、旧正月で挨拶もあり、かと。
節分の話を作ろうとも思っていたのですが、ラムちゃんが頭の中から消えませんでした。ダメだ。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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