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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
PKの罠
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 いつも思うことだけど、PK程辛いことはないかも知れない。
 手を貸すこともできない辛さに、身を切られる思いがする。何もできないもどかしさに、耐えられなくなる。
 でも、こちらの辛さなんて、軽いものだと思う。重責を独りで背負い、立ち向かうキーパーに比べれば。

 何度か、自チームがPKになったことがあった。その度に、若林くんだったら、と思い、若林くんじゃないことに安堵した。

 僕は正視できるんだろうか。

 でも、秘密だけど、若林くんのPKの映像をこっそり録り貯めている。

 PKに臨む若林くんは、いつも静かだ。心を研ぎ澄まし、感覚を尖らせて、勝負に挑む。一見静かなのに、その眼差しからは鋭さと集中力が垣間見える。

 目を奪われてしまう。

 でも、とても本人には言えそうにない。

 ドイツで、若林くんの試合のビデオを見せてもらったことがあった。国内リーグの試合は同点のまま、延長戦に縺れ込み、結局決着がつかないまま、PKになった。
 精悍な若林くんの顔が、険しさを増す。一文字に結ばれた唇、眼光を増した双眸は、一点を見つめ。

 跳んだ・・

 息をつく間もなく、僕は画面に魅入られていた。ハンブルクチームの勝利ゴールが決まるまで、身動きひとつ出来なかった。

「すごいだろ?」

 多分、僕は熱にうかされたように、夢中で頷いていたと思う。

 目の前の若林くんは厳しかったり、激しい面もあるけれど、優しくて強い。
 でも、映像の中のゴールキーパーは違っていた。初めて会った頃のように、強くて大きくて、孤独に見えた。
 そして、僕は一人のサッカー選手として、その敵に惹かれた。

「あのボールを止めたのはすごい」
「あのコースを予想してたみたい」
口ばしりながらも、僕の頭の中では、どのコースをどう攻めれば良いのか、シミュレーションが始まっていた。

「・・・俺もお前もとんだサッカー馬鹿だな」
若林くんは僕の心を読み取ったらしい。そりゃ呆れるのも無理はない。恋人が格好よすぎて、対抗心を燃やすなんて、どうかしてる。
「そう思う」
素っ気なく言って、目の前の若林くんを見つめ返す。
「でも、分かるぜ。最高の誉め言葉だ」
若林くんは笑って僕を抱き寄せた。
 やっぱり、この人が好きなんだ。サッカーをしている時も、していない時も。
 胸の中に収まらなくなった鼓動が、また激しくなった。


 再生したディスクで、若林くんが仁王立ちしている。PKは、若林くんが大きく映される場面でもある。見る度に、想いを交わす時のように、心が捕えられる。

 やっぱり、ダメだね。
 独りで映像を見ると、僕はどうしても君を助けに行きたくなってしまう。

 PKほど、辛いものはないと、やっぱり思う。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
亜細亜杯後遺症第二弾です。
頭の中にイメージが残っている内に、と書いてみたら、甘さのかけらもありません。
どうしてこうなった。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


コメント

おはようございます。
先日は、メールをありがとうございました。嬉しかったです。返信をこちらから失礼させてください。

アジア戦は見ごたえがありましたね。なによりPK!川島の凛とした強くたくましい姿に思わず「若林くん!」と、心の中で叫びました(笑)。
構える姿も止めた時の瞬間も、岬くんは惚れ直すこと間違いなしです。そして、きっと誰よりも緊張して見守っていることでしょう。

若林くんを見つつも、自分ならどこを攻めるかシュミレーションをしだす岬くんもさすがです♪
甘々の二人もいいですが、プレイヤーとしてお互いを認め合う二人がかっこいいです。

復活後の真さまの更新速度に刺激を受けて・・・私も頑張ろうと思えます。
寒い日が続いていますから、お互い体調に気をつけましょう。
またお邪魔させてください。では・・・♪




[2011/01/28 09:04] URL | なお #- [ 編集 ]


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