※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 細い、人気のない路地に入って行った岬を追う。何故、そんな所へ?と思ったことも理由があったらしい。 「・・・なに、してるの?」 不意に立ち止まり、不思議そうに見上げてくる顔に、しまった、と思った。どうやら、ばれていたらしい。 「何でもない」 堂々と即答する。やましいことはしていない。ただ、岬の跡をつけただけ。 「何でもない訳ないだろ?君が変装して僕の跡をつけてる理由を聞きたいんだけど」 そんなの気になるからに決まっているのだが、何でも正直に答えるのが常に上策とは限らない。 実際、変装と言われるのも仕方のないような姿ではある。髪を上げて、メガネをかけた、鏡の中の俺は、普段の俺ではなく、兄達を思い起こさせる。 どう答えたものかと考えながら岬を見返すと、不意に視線があった。・・・どうやら、岬は俺を見上げていたらしい。 「ん?そんなに可笑しいか?」 「・・・そうじゃないけど」 先に目を逸らしたのは岬の方だった。頬を微かに染めて、岬は口元を押さえている。笑っているのでないことは、顔の上半分で十分に伝わった。 「じゃあ、惚れ直した?」 軽い気持ちでからかったつもりだったが、返ってきた反応は予想以上のものだった。 「知らないっ」 岬はくるっと向きを変えて、顔を隠そうとする。だが、そうは問屋が卸さない。細い、人気のない道に誘い込んだのは、お前の方。 壁に、手首を掴んだ岬を押し付けた。 「岬、どこに行くんだ?」 口調はことさら優しく、耳たぶに触れるキスはもっと優しく。岬は横目で俺の表情を伺い、観念したように瞳を閉じる。 「買い物だよ」 「何を?」 「・・・ごにょごにょ」 言った後、岬は恥ずかしそうに、下を向いて息をついた。この反応からして、言いたくなかったらしい。微かに聞こえたのは、俺の記事が載った雑誌。 「じゃあね」 言い終えた岬は身を翻した。行き先を言わないから気になっただけで、縛りつけるつもりはない。
「今度はデートな」 慌てて出ようとする岬の背中に、声をかけた。岬は声に弾かれるように振り返り、小さく頷いてから走り去る。その表情がとんでもなく可愛く見えて、戻って来るのが待ち遠しい。
やっぱり、もう少し尾行したくなった。
(おわり)
お約束通りの話を。二人とも尾行しにくそうな気がします。
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|