※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 最終回。 窓の向こうでは、吹雪こそ治まったものの、まだ雪が舞っている。いつもは忌ま忌ましい限りだが、こうして見る分にはきれいだと思う。
他に動く物もなく、しんしんと雪の降り積もる窓の外同様、部屋の中も沈黙に沈んでいる。 岬は唇を潤すように、コーヒーを一口飲んだ。それから顔を上げた岬は、まるで何かを決意したように、強い目をしていた。 「それで、君は良いの?」 まっすぐな視線に射すくめられる。言葉を失った俺に、岬は身を乗り出すと、俺の正面に立った。ソファーに座っている俺の目線に合わせて、腰を落とす。 「君、困らない?」 婉然とした微笑みが、ゆっくりと近付いてくる。 「どういう意味だ?」 俺の問い掛けに、岬はすぐ目の前まで近付いて止まった。 「僕だって、君が好きだよ。一度、そうなったら、二度と離さないかも知れないよ?」 顔が近い。手が触れられそうに近い。 岬は笑顔なのに、その声は怒っているようにも、泣いているようにも聞こえた。岬は俺のことを信じてはいなかったらしい。 それなのに、嬉しいとしか思えなかった。憤っていたとしても、岬からの告白。二度と離さない。それがどうした?願ってもないことだ。 だから、先に捕まえた。腕を取って、手繰り寄せた。細い腕は簡単に掴め、弾みで倒れ込んで来た岬の背中に腕を回す。 「こちらこそ、二度と逃がさないからな」 頭を押さえて、強引にキスした。何度も唇を合わせて、俺を刷り込む。 そうだ。俺の知っている岬は優しい奴ではあったが、決しておとなしくはなかった。ニコニコ笑ってはいても、心の中には、嵐のような激しい部分を隠していた。 俺だって負けはしない。岬の中の激しさも寂しさも暗さも、ちゃんと分かっての上のこと。 その俺達が、外の吹雪に動きが取れずに、内の嵐に捕まるというのは、不思議な話だが。 「・・・良いよ」 また視線が絡み合う。もう一度抱き合って、互いの体温を高める。
外は大雪で、外出もままならないが、大事なものは腕の中。全く問題はない。
いっそ、こいつが帰る気をなくすまで降れば良い。そう思いながら、窓の外を眺めた。
(おわり)
何か忙しくて、まとまらずにダラダラになりました。 電車は止まるものだ、ともう一度力説しておきます。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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