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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
吹雪(1)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 外の雪は更に激しくなってきた。
「・・・雪、やまないね」
窓に張り付いたままの岬が、ガラスの向こうを見つめている。ため息混じりの声に、窓に縋り付くような表情・・・その理由は分かっている。

 岬は久しぶりに招待に応じてくれた。もっとも、空港に着いた頃には、後悔していたかも知れない。ハンブルクは、珍しい程の寒さに見舞われていた。雪が降っていないのが不思議な位だ。
「よく来てくれたな。寒かったろ?」
「本当に寒いね。凍えそうだよ」
肩をすくめ、岬が言う。白いコートを彩る紺のマフラーが、風に揺れている。寒そうに吐き出された息の白さに目が止まる。
「じゃあ、早く帰ろうぜ」
手を引っ張って促した。早く連れて帰りたいと思っただけで、他意があった訳ではない。その時にはまだ。

 結果的にその判断は正しかった。家に着く頃には、外はふぶいて、外出などかなわない状態になった。
 シチューを作っておいて良かった。久しぶりに腕を奮ったシチューを、岬は喜んで食べた。
「何だか、前よりおいしくなったみたい」
白かった頬が、段々と血の気を取り戻し、ばら色に変わっていく。
「だろ?岬が来るから、一昨日から仕込んだんだぜ」
「ありがとう、すごくおいしい」
岬がスプーンを口に運ぶ。微笑みながら、シチューを口にする。笑みを刻んだ唇が、嬉しそうに動く。
「若林くん、そんなに見たら、食べにくいよ」
我知らず、視線が向く。テーブルを挟んで、岬と俺は向かい合っている。その僅かなテーブルの距離すら、もどかしい。
 岬は、俺のテリトリーまでは来る。だが、その後はガードが固くて、突破できない。
 例えるなら、ペナルティーエリアに入れても、ゴールを許さない、鉄壁の守り。何気ない風を装いながら、誘いも接近もするりと交わし、告白すらできずにいる。
「見たら、駄目か?」
「駄目じゃないけど、食べにくいだろ」
岬はそう食べる方ではない。それでも、何でもうまそうに食べる。
「岬が食うと、何でもうまそうに見えるからな」
「だって、本当に美味しいし」
岬は顔を上げた。寒そうにしていたのが嘘のようだ。外は吹雪で、この家に閉じ込められたのも同じだった。思えば、俺も心細かったのかも知れない。手を取りたくなるほどに。
「うまいはずだぜ。俺の愛情が詰まってるんだから」

(つづく)

年末年始、実家から出られませんでした。雪がすごくて。停電も多かったし、すごい田舎です。

相変わらずPC開きません。パスワードが分からないので、PC以外からは触れないのに。

完全機能回復までもう少しお待ち下さい。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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