※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 急に携帯電話が鳴って、慌てて画面を確認した。表示されたのは、麦わら帽子の絵文字。携帯を落としてしまった時用に、若林くんと父さんの帽子のマークは入れ替えてある。 「どうしたの?」 家にいるのを見計らったようなタイミングに、苦笑しながらも、どこか嬉しい。目に見えない部分だけでも、繋がっているような錯覚に胸を衝かれる。 「大丈夫?」 開口一番言われた内容に、思わず絶句する。 「急にどうしたんだよ」 日課と化したメールも甘んじて受けるし、電話だって、ちゃんと出るようにしている。あまり刺激しないように、ツイッターにも気遣っている。いきなり心配されるようなことはしていないはずだ。 「もう走れないって言うから・・・」 「一体何のこと!?」 聞き返す僕の声は、普段より3割は低くなっていたと思う。
少し落ち着いた若林くんに話を聞いた。 年賀メールに添付して、森崎くんがフラッシュを送って来たらしい。起動する度に、おみくじを表示するフラッシュで、壁紙の画像に合わせて、表示位置を調整できるそうだ。 そして、若林くんは僕の画像を壁紙にしたまま、おみくじフラッシュを動作させていたらしい。 「毎日、お前がアドバイスしてくれるみたいで、嬉しかったんだぜ。こないだなんて、大好き、とか出てたんだぞ」 若林くんはいかにも嬉しそうに言い立てる。 「今日のおみくじが、もう走れない、だったんだぞ。心配するって」 森崎くんめ、天皇杯の前日に何してるんだよ。決勝に残れなかった僕が言うのも何だけど、森崎くんのチームは鹿島に負けたのだった。 「もうっバカみたい」 呆れてしまう。若林くんったら、心配しすぎなんだよ。占いなんて信じないくせに、どうして、あんなに慌てて電話してくるんだよ。 「君の助けが欲しくなったら、ちゃんと電話するから」 ゆっくりと、伝える。 「少しずつだけど、君に頼ることを覚えたんだよ」 君は、僕一人くらいもたれかかっても大丈夫だと言ってくれる。他の誰よりも、君の言葉なら信じられるよ。 「だから、若林くんも僕を頼ってね」 僕だって、君のことが心配なんだよ。僕よりも強くて、僕よりも矜持の高い君。 「本当だな」 若林くんが笑い声を立てる。その声に、僕も安心してしまう。若林くんもそうだったのかな。 「やっぱり岬と話すのが、一番だな」 何があったのかは聞かない。自分が辛くても、まず僕の心配をしてくれる君に、僕はいつも勇気を貰う。 「おみくじ、また悪かったら電話して」 笑って電話を切る。胸に残った温かさごと、携帯を抱きしめた。
どんな大吉よりも、君の声の方が効き目があるみたいだよ。
(おわり)
昨日の続きです。 おみくじ系フラッシュを使っていて「もう動けない」の言葉にショックを受けて。 森崎くんにいつも変な役を振り当ててごめんね。(でも、そんなイメージなんですよ)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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