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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
温泉(上)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「岬、温泉って行ったことあるか?」
「温泉?ないけど、どうかしたの?」
電話の向こうで、岬は不思議そうに聞き返す。確かに、俺達の年から考えたら、家族旅行くらいしか、温泉なんか行かない。
「いや、今度日本に戻るから・・・その時に、良かったら行かないかと思ってさ。券、もらったんだよ」
「そうなんだ・・・」
岬は何やら考えている様子だ。返答の遅さが、岬の迷いを示すように思える。
「岬、どうした?」
「うん・・・笑わないで聞いてね」
「ああ」
岬は時々こういう前置きをする。岬が言いにくい、と思っていることを話してくれるのは良い傾向だと思っているから、逆らったりはしない。
「僕、引越し以外だと旅行ってしたことないんだよ。修学旅行も行けなかったし」
そう言えば、修哲も南葛も修学旅行は秋だった。他の小学校がいつかは分からないが、なかなか難しそうだ。
「そうか・・・」
岬らしいと思った。全国広く知っているが、旅行はしたことがないというのは。
「だから、全国大会くらいかな」
声だけしか分からないのに、岬が微笑んでいる気がした。あの時の凱旋は、その前の年よりも何だか楽しかったのを覚えている。
「それと・・・こっちに来てくれたよな」
パリからハンブルクへ。日帰りでは心配だから、俺の家に泊めた。嬉しそうに微笑み、楽しそうに話す岬はとても可愛くて、少しも目が離せなかった。
「あ・・・」
岬が言葉を失ったのが分かった。そんな遠い旅程を会いに来てくれたのが嬉しくて、俺は岬に告白する勇気を得た。
「じゃあ、その日、空けておいてくれよ」
「うん、分かった。温泉なんて初めてだよ」
「それなら、良かった」
話をそらしたことで、岬は少しほっとしたようだった。嬉しそうに声を弾ませた岬に、幸せな気持ちになる。
「じゃあ、約束したぜ」
「うん」
「おやすみ、岬」
「おやすみ」
岬の柔らかい声が、耳をくすぐる。岬も同じ気持ちなら、こんな甘い気持ちで眠ってくれたら、そう思いながら、電話を切った。

(つづく)

年末なので、それっぽいことを。と思ったら長くなったので、前後編に。

いきなり消えたり復帰したり、今年も乱調のブログでしたが、皆様お世話になり、ありがとうございました。
・・・自宅に帰ったらちゃんとメンテナンスします。来年こそは。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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