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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
危険な賭け(1)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 好きだと言われた時に、すぐに答えられなかった。幸せ過ぎて、すぐには信じられなかった。
 その躊躇いをどうとったのか、若林くんは背中を向けた。
「悪かったな、変なこと言って・・・忘れてくれ」
僕は青ざめていたと思う。それ以上何も言わない君の背中に怯え、君を失うことを恐れた。
「若林く・・・ん」
「せめて友達でいてくれよな」
せっかくの誕生日なのに、凍ったような時間が流れた。もらった花束に、くちづけしても、もらった時の喜びは蘇ることはなかった。

 それからしばらく経つ。若林くんの言葉通り僕達は友達に戻り、何度目かの誕生日がまた巡る。

「ミサキ、もうすぐ誕生日だな」
ピエールの投げかけに、首だけで頷く。身構えてしまっていることに気付かれないよう、口元だけで笑ってみせる。
「ありがとう」
「じゃあパーティー・・・」
「・・・は要らないからね」
言わんとすることは分かっていた。タイミングを完璧に合わせて返す僕に、ピエールは憮然とするでも憤慨するでもなく、したり顔で応じた。
「恋人に祝ってもらうのか?」
悟られるようなヘマをしたつもりはないのに、どうしてそんなことを見抜いちゃうんだろう?やっぱり経験値?友人の洞察力に舌を巻きつつ、ピエールを見上げた。
「どうして、そう思うの?」
「そりゃ、ミサキにしてはあんまり余裕のない顔をしているからさ」
顔?自分の顔を触って確かめたい衝動を抑え込む。・・・確かに余裕があるとは言えない。
 若林くんがちょっと寄ってくれるだけなのに。それも遠征のついでなのに。

 緊張する。

 若林くんはあの時のことをおくびにも出さない。友達といった言葉通りに振る舞ってくれる。でも、僕の中には、あの時言えなかった想いが残っていて・・・若林くんの視線や言葉に、あの時のかけらが落ちていないか漁ってしまっている。
 あの時、手を離したのは僕。繋ごうと伸ばされた手を振り払って、それからずっと後悔は降り積もっている。・・・想いも。
「・・・はずれ。好きな人なのは合ってるけど」
降り積もった年月の重さがなかったら、そんな軽口は叩かなかった。笑ったつもりでいたのに、ピエールはずかずかと歩いて来て、僕の頭を撫でた。
「ミサキに想われて、受け入れない相手がいるとは思えないね」
自信たっぷりに言われて、かえって切なくなる。
「・・・そんなことないよ。僕が振ったんだから」
若林くんは一度振られた相手に、未練を抱くようなタイプじゃない。あれだけプライドが高い人なんだから。友達でいてくれるだけで、感謝してしまうくらい。
「それなのに好きなのか?」
呆れ顔のピエールに、僕は固有名詞を伏せ、簡単に事情を説明した。だから無理だとうなだれた僕に、ピエールは挑発的な目を向けた。
「じゃあ、賭けをしようか?」
「賭け?」
「そうだ。ミサキから相手を誘えば良い。俺は乗ってくる方に賭けるよ」
すごく簡単に言ってのけたピエールを睨みつける。相変わらず上手な挑発と励ましだけど、そんなにうまくいかないよ。
「・・・うまくいくはずないよ」
「じゃあ賭け成立だな。自信をもてよ、ミサキ。お前は俺のたった一人のパートナーなんだから」

(つづく)

・・・続けるつもりなんかなかったのに、長くなって5日中に間に合わず。忙しかったんです。はあ。

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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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