※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 聞き慣れない音が聞こえ、岬は顔を上げた。最寄りの窓に向かい、覗き込むと、先頭に父親の姿があった。
「君はここにいて!僕が行くから!」 椅子から立ち上がろうとする若林を制すると、岬は素早く階段を下りた。
息子を連れて行かれた岬の父親は、周囲に相談したのだった。森の館の若林といえば、確かに恐れる者も多い。岬の友人達も岬を案じて駆け付けた。 「岬!大丈夫か!?」 「岬を返せ」 乱暴にドアを叩くのは小次郎に違いない。普段は対立することの多い日向と松山が揃って来ていることに、岬は苦笑する。二人とも、岬には気の良い友達なのだ。こんな事態でなければ、嬉しいくらいなのに。 「みんな聞いて!」 岬は内側からドアを開けた。鉄砲や棒を振り上げ、殴り込む気満々の一同は呆気にとられる。 「岬!?」 不思議そうな顔を見渡して、岬は微笑んだ。 「心配してくれて、ありがとう。僕は大丈夫だから」 後ろで見守っている動物達にも聞こえるように、岬は話しかける。 「みんな親切にしてくれるし、ご飯もおいしいし。だから、心配しないで」 優しい中にも、決意を込めた口調に、周囲が息を飲む。 「ほ、本当に大丈夫なのか?」 「俺達に遠慮するなよ」 気遣いはするものの、当の岬に笑顔で言われては、それ以上は言えない。岬は優しい友人達に手を振った。
友達が遠ざかって行くのを見送り、岬は息をついた。館の門の前で、扉を背に、腕を突っ張っていたことに気付いて、座り込む。 しばらく暮らす内に、岬の心には一つの決意が芽生えていた。 この館の、小さな友達を助けたい、という気持ちだと岬は思っていた。魔法で動物にされた、などリアリストの友達は誰も信じまい。それでも、この奇妙な、優しい空間を守れたら・・・。
「岬、ありがとう!」 扉を開けて、中に戻った岬を出迎えたのは若林だった。嬉しそうに腕を伸ばす若林に、断ることもできず、岬は抱き取られる。温かい腕に包まれながら、岬は不思議に思った。最初は知らなかったとはいえ、何故、怖いなんて思ったんだろう。注がれる眼差しはこんなに優しいのに。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 風邪で死にかけていました。携帯も調子が悪いし・・・。 色々ほっぽり出したままで、すみません。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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