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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
千夜一夜(12)
※二次創作です。いろいろあります。ご注意下さい。
 あまり片付けていない部屋とはいえ、整頓しておいて良かった。ソファーに岬を座らせ、日本茶を出してやる。
「うわ、久しぶり。おいしい!」
静岡のお茶だから当然だ。日本の食べ物はこっちにも入って来ているが、上等なお茶はあまりないので、日本から送らせている。
「南葛を思い出すよ」
岬は笑うが、こちらこそ久しぶりの日本語と岬の存在に、日本を思い出さされている。
「それにしても、岬のプレーは見てて気持ち良いな」
俺の言葉に、岬が首を傾げる。
「正確だし、スピードあるし、味方としては心強いぜ」
実際、チームに入っていないと言われた時には驚いた。早くどこかに入らないと勿体ないと思う。と同時に舌を巻く。自己流でここまで上達するなんて、本当にたいした才能に違いない。
「僕も若林くんが見守ってくれたら安心するよ」
そうやってあの暑い夏を戦った。こんな小さい肩なのに。信頼できる背中だった。
「翼に恨まれるな、岬とサッカーしたなんて言ったら」
岬は、翼の単語に反応した。
「翼くん、元気?」
「ああ、元気も元気。試合に勝った話と、岬がいなくて淋しいって手紙ばかり送ってくる」
これが全部本当なのだから、どうかと思う。翼の彼女はたまらないだろう。
「あはは」
岬は明るく笑うけれど。
「俺だって岬はどうしてるかと思ってた」
笑っていたはずの岬は黙って俺を見ていた。
「まあ、会いに来てくれたから、良いけどな」
「そう言ってくれると来たかいがあるよ」
あまり言うと、繰言になりそうだった。こちらの譲歩に微笑みで報いる岬に、俺はつい見とれてしまう。昔から可愛い顔はしていた。それが、日本人の女の子でも発育の良いこの国では、やたらと華奢に見える。大人っぽくなったとはいえ、細い首筋やら柔らかそうな頬のせいで、可憐だ。・・・本当に、同じ男だよな?こいつ。
 そして、何より印象深いのが、もの言いたげな瞳。
「岬、本当に来てくれて嬉しいぞ」
「僕も来て良かった。若林くんはやっぱりすごいよ」
微笑む岬に、昼間のことを思い出す。昔から、サッカーをしている時の岬は幸せそうに見えた。魂を解放しているような笑顔、対話しているようなプレー。岬を縛っている鎖を解いてやりたいと真剣に思った。心から笑ってサッカーできるように。

(つづく)

from past log<2008.10.31>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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