※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「僕は女の子じゃないんだよ?」 何かと庇われる、のはやっぱり困るから、若林くんを諌めた。会えば、当然のように上着をかけてくれ、寒くないかと気遣ってくれる度に、何だか申し訳なくなってしまうのだ。 「俺がそうしたいから、してるだけだぜ」 口ではそう言いながら、若林くんはごく自然にエスコートしてくれる。・・・だから困るんだ。 初めて好きだと言われて、もう随分経つ。僕は若林くんが言う程、可愛くもない。その気持ちは嬉しくても、素直に受け取ることすら出来ない。 なのに、若林くんは平然と僕を気遣ってみせる。何の見返りも求めず、笑ってみせる。
嫌いじゃない。むしろ好きで、特別だとさえ思う。けれども、あと一歩が踏み出せなくて、その胸に飛び込めずにいる。
「お前が喜んでくれるなら、俺は何でもしてやりたい」 そんなに簡単に言わないで。これ以上優しくされたら、このバランスが崩れてしまう気がするんだ。 「・・・僕は何にもお返し出来ないよ。だから、何もいらない」 そんなに優しくされたら、会うのも辛くなってしまう。必死で意地を張る僕を、若林くんは真剣な顔で見返した。 「そう思うなら、俺のことを好きになれよ。俺はお前しか要らないから」 若林くんに、心を差し出すのは一番簡単で、一番怖い。本当はすぐにでも心を差し出せる。君に心を差し出して、愛してほしい。でも。 今だって、本当は僕の方がずっと君のことが好きなんだと思っている。 差し出した心を要らない、と言われたらどうしよう。君のことを好きな分だけ、僕は自然と臆病になる。傷つけられないよう閉ざしてきた心も、君なら簡単に傷つけることが出来るだろう。 「困るよ・・・」 好きだから、あげられない。ドキドキしている胸に気付かれないよう、ゆっくりと視線を逸らした。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 観念的で動きのない話になってしまいました。 若林くんはすごく完璧なエスコートをしそうだな、とふと思いました。(PC編集2/5)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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