※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 押しかけてきたのが若林でなければ、通しはしなかったろう、と岬は思った。昔から、自分はどうも甘いところがある、と自己評価して、目の前の若林を見る。 「大丈夫か?」 「おかげさまで、随分楽になったよ」 微笑んでいたとしても、その声にはわずかな苦味が混じる。調子は悪くないといっても、絶好調でもないことを悟って、若林はベッドに腰掛ける岬を見つめた。 「嘘つけ」 岬が笑ってみせる度に、若林は胸が潰れそうな思いがする。平気なフリをしてしまう岬の健気さに、何もできない自分の無力さに。呟いた若林は、黙って下を向いている岬の側に寄った。静かに座っている岬の足を取って、伸ばす。白い足にはまだ白い包帯が巻かれている。手の記憶にあるよりも細くなったことに、知らず息が落ちる。 「・・・本当に大丈夫だってば」 「俺が触りたいんだ。・・・魔法が使えたら、もっと嬉しいんだけどな」 なおも言い立てる岬に、若林はそのまま足を撫でた。物語のように魔法を使って岬の足を癒すことはできないけれど、少しでも楽になることを祈りながら、愛でる。若林は魔法などというような、頼りにならないものを宛てにすることのない人間だ。その若林が魔法にも頼りたいような思いで、ひざまずき、足を撫でてくれていることに、岬は感動せざるを得ない。 「・・・魔法、十分効いたよ」 リハビリの辛さも、もどかしさも、吹き飛んでしまうような魔法だ、と岬は思った。思い出しただけで幸せになるような魔法をかけられた。明るくなった声に、若林も顔を上げて笑ってみせた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 昨日は疲れすぎて、PC起動も待てませんでした・・・。待っている間に陥落しましたとも。 眠いです。
拍手お礼: 銀月星夢様、いつもありがとうございます。 なるほど、若林くんに余裕がないからドキドキしてしまうんですね。 とてもよく分かる気がします。貢物については、どうかお気になさらずに。 クマとイヤリング・・・それくらいの違和感だと思うんですよ。若林くん硬派でしょうし。
さくら様、いつもありがとうございます。 確かにそう見えないこともないですが・・・毒されておられますわね。 そして、顕著な傾向ですね。キャプテンのアホの子ぶりが書けていると良いのですが。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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