※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「二人で何こそこそと?」 尋ねる岬には、とても本当のことは言えない。
固まっている二人をよそに、岬はその場に陣取ってしまう。 「日向が、まだ若島津を押し倒したことがないって言うから」 苦笑紛れに白状した若林に、岬はため息をつくと、若林に微笑んだ。 「若林くん、コーヒーいれてもらっても良い?」 背番号の札を上げるよりも分かりやすい選手交代の要求に、若林はさっさと立ち上がる。 「ああ、ちょっと待ってろよ」 およそ自分の言うことなど聞きそうにない猛獣が制されている様に、日向が感嘆する中、岬はにっこり笑う。 「小次郎、今の本当?」 岬の顔を見ると、若林とのやりとりが脳裏に甦り、日向は絶句した。この柔らかそうな唇も、白い肌も、若林のものなのだ。 「ああ、そうだ。悪いかよ」 つい意地を張ってしまう。言い返した日向の目を、岬は静かに見つめた。 「どうして?若島津は待ってるのに」 相変わらずこの眼差しは苦手だ、と日向は思う。心の底まで見通すような瞳を向けられ、諭される位なら、正面から怒鳴られる方が楽だった。 「だってよ、嫌がられたらどうする?あいつは半端なく強いんだぜ」 そんなことは理由ではない。もし拒まれたら、お互いの関係が終わってしまったら。別れたとしても、例えば岬と若林なら、友達に戻りそうな気がする。だが、自分達には無理なのだ。 長く側にいた。その長さだけでなく、関係の深さに、自他の壁さえ融けてしまったかのように、心のどこかがつながっているような気がする。血よりも濃い、という言葉もあるが、その関係が途切れてしまったとしたら。身内を大事にする日向だけに、その想像は怖かった。 「若島津は待ってるよ」 繰り返した後、黙って見つめられることに耐えられず、日向は口を開く。 「それに、若島津に負担をかけるのはいやだ」 「それも覚悟の上で待ってくれてると思うけど」 小声で囁かれて、日向は目を見開く。若島津を抱くことは何度となく想像した。色々調べれば想像はなまめかしさを増し、それとともに恐怖も膨れ上がっていった。 だが、若島津の心を語る岬に、どうしてそんなこと分かるんだ、とは不思議と思わなかった。岬がそう言うのだから、そうなのだろう。 「お前はどうだったんだよ」 日向に迫られて、岬は目を伏せた。色の白い岬だけに、目を閉じると睫毛が際立ち、日向すら見惚れてしまいそうになる。 「最初は怖かったよ。でも、だんだん堀を埋められて、」 珍しく宙に遊ぶ岬の指に、言葉にならないことが分かる。それでも岬は思いを伝えようと試みる。 「僕も好きなんだって、伝えたくなっちゃったんだよ」 渇いた唇を潤すようにワインを飲む岬の顔は明らかに赤い。だが、付き合いの長い日向さえ見たこともない程可愛かった。こりゃ若林が追い払われるのも当然だと、日向は大いに納得した。 「だから、大丈夫。若島津は怖がったりしないから」 長い間蓄積された想いで、むしろ幸せに思うに違いない。肩を叩く岬に、日向は深く頷いた。
「コーヒーが冷めない内に、取りに行って来るよ」 赤い顔を隠すようにして、岬はキッチンに向かった。そのまま二人が戻って来ない件については深く考えず、休暇になったら若島津に会いに行こう、と日向は思った。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 若島津くん、お誕生日おめでとうございます!! さくら様からのキリリクで、「男同士って・・・」と相談する日向くん、でした。こちらとしては惚気る源岬が書けて幸せでしたが、リクエストに沿っていたかは非常に怪しい結果に。うう、すみません。 必要以上に幸せそうな若林くんには、書いている私が嬉しくなりました♪
私信:さくら様、お疲れ様です。嵐が過ぎたら、ゆっくりお休み下さい。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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