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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「これ何?」
クリスマスマーケットで見かけた星型の飾りに、岬が目を留める。フランスで色々なツリーを見てきた岬だが、初めて見るものだった。
「麦を編んだ飾りだな」
「へえ、麦を編んであるの?」
「豊饒を祈るって奴。日本でもよくあるだろ?」
若林の言う通り、岬は各地の祭で、そういうものを沢山見てきた。
「面白いね」
色とりどりの飾りの中、茶色い麦で編まれた星は、かえって引き立つ。雪の結晶を象ったものが混じっている辺りは、いかにも雪深いこの地方らしいといえた。
「ああ。クリスマスツリーに付けると、結構さまになるんだぜ、これが」
薄い色の星や太陽、雪は樅の緑を引き立てる。
「へえ…あ、あんな感じなんだね!」
近くに飾られたツリーを目敏く見つけ、岬は駆け寄った。生活品を除き、そう買い物が好きでもない岬が、クリスマスマーケットにはいそいそと出かけるのが、若林には不思議でたまらなかった。
「岬はクリスマス好きだな」
「うん、こっちに来てからはね」
新年を迎える前に、街が飾られ、祈りで満たされる。その陽気でいて厳かな空気は独特のもの。
「でも、クリスマスにサンタが来るなんて、信じてなかったよ」
父親との二人暮らしで、自然にその気配には敏感になる。サンタ、という存在を知ったその年にはサンタが来ないことを知った。欲しかった自転車や仔犬を貰うことはなかったが、成長するに従って、周囲から孤立しないようサンタを務め続けた父親の愛は理解できた。
「俺と反対だよな」
岬の話を聞きながら、若林は呟いた。
「俺はいつもプレゼントなんかいらねえから、母さんが帰って来てくれないかって思ってた」
「もう淋しくない?」
そっと覗き込むようにして、岬は若林の様子を窺う。
「心配してくれるのか?」
「当たり前だよ。・・・何となく分かるから」
他の者に分かって貰えるとは思わないが、こうして語る相手がいることは幸せだと思う。昔の淋しさにもちゃんと気付いてくれる存在に、心が癒される。
「まあ、こうして普通に話しているくらいだから、そういう時期は過ぎたんだろうな、岬も俺も」
「うん、僕もそう思う。・・・若林くんこそ、クリスマス好きだと思ってたよ。毎年声かけてくれるし」
「それは意味違うだろ」
思わぬ切り返しに苦笑しながら、若林はツリーに目を遣った。樅の木にちりばめられた太陽や星は、地上にあっても輝くようだった。

(おわり)

眠い・・・間に合わなかった・・・。(12/26PC編集)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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