※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 南葛高校のすぐ側にはラーメン屋「大将」がある。安くて量の多い店だけあって、夕方ともなれば、部活帰りの運動部員で溢れかえる店だ。 もちろん、俺達サッカー部も例外ではない。三日に一度は通っている有様だ。 「学割ラーメン6つ」 「はいよ」 いつものように石崎が注文する。 月初にはタマゴやワカメ入りを注文するものの、月末も近くなり、懐が寒くなると、ラーメン鉢の彩りは質素になる。 「ちょっと侘しいよな」 「あと10日で月が変わる!それまでの辛抱だ」 そんなことをぼやきながら、テーブルの紅生姜を平らげてしまうのが常だ。だが、今日は違っていた。 「お待たせ」 テーブルに運ばれてきたラーメンの内一杯は、チャーシュー、タマゴ、コーン等の具が山盛り乗せられ、超豪華である。 「これ・・・間違ってるんじゃ・・・」 それを目の前に置かれたら、驚かない訳がない。。だが、周りを見渡すと、みんなは笑っていた。 「今日は何日だ?」 「え・・・あっ!」 20日、と言いかけて、閃く。初めての国立を間近にして、自分でも忘れてしまっていたのだが。 「誕生日おめでとう」 前代未聞の具沢山ラーメンに、狭い店を満たす拍手の音。 「・・・みんな、ありがとうな」 余裕がない時期の、余裕のないプレゼントではあるが、かえって嬉しい気がするのは、どうしてなんだろうか。 「こんなことくらいしかできなくてごめんね。さあ、のびない内に食べて」 鉢から溢れそうな具に苦心しながら、ラーメンを口にする。注視される中食べるのは些か照れ臭く、旨い筈なのに、胸が一杯で味も分からない。 「さあ、食え食え」 すごく暖かい。俺のチームは本当に日本一だと思う。 「じゃあ本当のプレゼントは、年明けにな」 高校になってからまだ手にしていない優勝旗。このチームで勝ち取りたいと思った。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 井沢くん、お誕生日おめでとうございます。 選手権があるので、高校時代の誕生日は慌ただしくなりそうだな、と。 心に残る誕生日になれば良いと思います。(12/22PC修正)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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