※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
本日も xxx-titlesさまよりお題をお借りしています。 お題一覧はこちら 「何だ、三杉?」 合宿所でたいていの者を怯えさせる三杉呼び出しに、何だ、で対応すると、若林は三杉の後に従った。 ミーティングルームに入るや否や、三杉は端正な顔をわざと歪めてみせた。 「若林くん、プライベートに立ち入る気はないけど・・・」 三杉は途中で言葉を濁す。 「何が、言いたい?」 若林は一歩詰め寄ると三杉を見下ろす。慣れない者には威圧感のある状況だが、三杉は動ずる様子もなく、若林を見上げる。 「今日岬くんの動きが悪かったんだけど」 「そうか?」 不機嫌そうについて来た若林も、三杉の言わんとする意図を察した様子だった。後ろから見ていて、岬の動きが特に悪かったとは思わない。しっかり走っていたし、ドリブルのリズムもとれていた。第一、休暇は一緒にいたものの、無理をさせないようにいつも気遣っている。 「僕の言うことを疑うのかい?僕はコーチでもある。選手のコンディションには誰よりも気を遣っている。岬くんは今日、パスのタイミングが一瞬遅れているように思える」 鋭い視線を向けられて、若林は黙り込む。三杉と岬はどちらも実力のある選手だし、二人のリズムもあるだろう。確かに、そんな細かいタイミングまで把握できていたとは思えない。 「無理をさせたつもりはないんだが・・・悪かった、とは思ってる」 偉そうな言い方ではあるが、この尊大な男にしては譲歩した方だろう。三杉は深く頷いた。 「身に覚えはなさそうだね。まあ、他に気付く人もいないだろうし、岬くんにも注意して済ませておくよ」 「悪いな」 もし見ている者がいたら、その鬼気だけで気分が悪くなるに違いない。部屋の悪い空気を打ち破ったのは当の岬だった。 「若林くん、電話がかかってるらしいよ」 ノックの後、ドアを開けて入ってきた岬は、伝言だけで出ようとするが、三杉は許さない。 「岬くん、良いところに来たね」 「岬、ちょうど良かった」 二人に同時に話し掛けられて、岬は怪訝な顔をした。
若林と入れ替わりに、岬は室内に招き入れられた。 「・・・ちょっと首、寝違えてるんだよ」 三杉に問われる前に、岬は小さな声で呟いた。自覚はしていたのだ。三杉が気付いていたことも分かっていた。 「ああ、やっぱり・・」 若林を問い詰めるまでもなかったかな、と三杉が思う間に、岬の顔はみるみる赤くなった。思い出して照れる表情を見せられるとは思わなかった。長い付き合いでも意外な可愛さに、三杉も思わず赤面する。 「もしかして、腕枕で首痛くなった?」 前に、彼女の弥生にそんなことを言われたことがあった。記憶を探り出した三杉に、岬は小さく首を振る。 「ううん、腕に体重がかからないようにしてたから、凝っちゃっただけ」 ひどいノロケもあったものだ、と三杉は思った。大事な腕で恋人に腕枕をしてしまうGKと、それを気遣って首を痛くするMFと。
このバカップルめ。
三杉は表情に出すこともなく、心の中で罵倒した。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 困った人達、です。 三杉くんのところも相当バカップルのような気がするのですが、それ以上に・・・という気がします。 元のお題は「へえ・・・僕の言うことを疑うんですか?」でした。もう、三杉くんしか思いつかなくて。 こつこつやっているお題ですが、やっと90%解消しました。あと4つ。ぼちぼち書きたいと思います。
拍手お礼: 美羽様、「同い年」の感想ありがとうございます。 さりげない気遣い、ってかえって難しいと思います。岬くんはきっとそういう人ですよね。 こちらこそ、萌えと潤いを頂きました。大好きな二人のお話をステキに書かれる方が増えたのは嬉しいです。これからも、楽しみにさせて頂きます。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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