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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
いつか
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 誕生日のプレゼントが部屋に積まれている。学校でも、みんなが祝ってくれた。それなのに、何だかさびしいのはどうしてなんだろう。

「今年の誕生日?もう終わったよ」
夏、翼の誕生日に岬が答えた。5月のゴールデンウィーク中だったから、と笑って答える。
「そうなの?じゃあ、転校する前だったんだね・・・」
「うん。だから、一人でお祝いしたよ」
岬は微笑んだけれど、その背中は何とも寂しげだった。その気持ちはよく分かる。
 他の奴の誕生日会では、お母さんがちらし寿司をよそおってくれ、ケーキを切り分けてくれる。
「すげぇ、でけえケーキですね!」
「それに、それ最新のゲームじゃないですか!」
呼んだみんなが言ってくれる。誕生日会が終わったら、みんな帰ってしまうんだ。だから、もう何年も誕生日会はやっていない。
「俺の誕生日会、来てね」
「うん」
岬の顔は笑っていたが、声は泣いているように聞こえた。歩き出した二人に後ろから近付いて、岬の肩を叩いた。
「岬」
「何?」
いつも通り笑顔で振り向いた岬に、お前の気持ちが分かる、と本当は伝えたかった。だが、寂しい気持ちを見抜かれるのは愉快なことではない。
「いや・・・何でもない」
岬の頭を撫でて通り過ぎた。
「変な若林くん」
怪訝な顔をして、翼は立ち去った。岬はそっと俺を振り返り、小さく微笑んだ。

 岬がまた去って行ってから、何度か思い出した。
 誕生日を迎えて、あの背中が思い浮かんだ。もしかしたら、俺も同じような表情をしているのだろうか。寂しさは年々薄れ、慣れてしまっていたけれど、わずかに残った傷が疼く度に、遠いどこかの空の下で、岬が幸せに笑っていることを願った。

「あの時・・・励ましてくれたよね」
岬と再会した時に、誕生日の話になった。
「12月、なんだね。若林くんって確かに冬生まれって感じがする」
まっすぐに俺を見つめて、岬は微笑む。優しい微笑みに、岬の過ごしてきた年月が見えるような気がした。
「じゃあ、今年は僕がお祝いしてあげる」
「ああ、是非頼むな」
もう、寂しいと思うような年ではない。それでも、こんな言葉に癒されてしまうのは何故なんだろう。頷く岬の手を強く握り締めた。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
ああん、重いです。最近、更新がますます遅い時間になってしまっています。

若林くん祭も少しだけ見てきました。
忙しい時期ですのに、企画をされているサイト様も多くて、楽しかったです。
かぶっちゃったな・・・とか、複雑な思いに駆られたりもしましたが。

拍手お礼:
しゃお様、いつもありがとうございます。
拙宅は一応メインがメインですので。他のキャラについては、怪しいものです(笑)
ただ、やっぱり12月は気合が入りますけれど。
いぢわるな岬くんは書いていて楽しかったです


拍手のみの方もありがとうございました。

以下は蛇足。
更新順は、逆にすべきでした・・・。今更後悔するのも・・ですが。
真珠湾云々の話は、ハワイに旅行した時に記念館に行った時の記憶で。説明ボードで開戦記念日が7日なのには、本当に驚きました。旅行中は2回も記念館に行きましたよ。語学の苦手な私ですが、太平洋博物館での零戦の話だけは完璧に聞き取れて、自己嫌悪に陥ったり。社内に男性の友達しかいないのを実感した寂しい旅行でした。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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