※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 「若林くん、知ってる?」 紅茶をソーサーに戻し、岬が微笑む。そう頻繁に会える訳ではないから、何気ない視線一つでも、胸に焼き付けておきたいと思う。 「12月7日ってクリスマスツリーの日なんだよ」 「へ?」 そんなことは聞いたことがない。聞き返す俺に、岬は顔を上げた。視線が合う。 「横浜に日本初のクリスマスツリーが飾られたからだって」 「へえ・・・そんなのよく知ってんな」 「井沢から聞いたんだよ」 井沢は今、横浜マリノスにいるらしい。それでか・・・と納得がいった。 「横浜は貿易港があったから、外国人船員のためのツリーが飾られたんだって」 「そうか・・・」 誰だって郷里が恋しくない訳がない。こうして、この国が第二の故郷となっている俺だってそうなのだから。そんなことを考えていると、岬が隣に移ってきた。 「若林くんも、日本が恋しい?」 恋しくないといえば、嘘になる。だが。 「お前が来てくれたら十分だ」 岬の髪に絡まった風の香りに、日本を思い出す。だが、それは俺を見送ってくれた人への思いでもある。だから、振り返りはしない。懐かしむことはあっても、その思いがあるから、前を見据えて戦える。 「意地っ張り」 岬はそう言って、鞄から何やら引きずり出して来た。 「手紙、みんなに書いてもらって来たよ。君は何でも持ってるから、ほら」 そうやって笑いながら、岬はいつも俺に日本の風をもたらしてくれる。 「ジョンの足拓まであるのか!?」 「そう。おかげで引っかかれたよ」 赤くなった腕をまくりあげる岬に、そのまま腕を押さえつける。 「・・・帰りたくなった?」 抱きすくめられたまま、優しく尋ねる岬に、小さく頷く。岬は俺の頭を撫でた。 「いつでも帰って来て良いんだよ。みんな、ずっと待ってる。それで里心がついちゃっても、君はちゃんと出て行ける人だから」 岬は簡単に人の心を見透かしてくる。でも、その上で許してくれる。人に甘えるのが下手で、常に背筋を伸ばしている岬だからこそ、分かってくれるのだろう。 「まあ、辛かったら会いに行くさ。お前に甘やかしてもらうのが一番効きそうだ」 感動を隠すように、岬を抱き上げた。後ろから抱きつかれた岬は俺を振り返り、困ったように微笑んだ。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 甘くないです。ただ、読み返したら、ソファーの上でべたべたしすぎです。 今日は小ネタの日ですが、明日はいよいよ・・・ですので、こんなものを。
今日は頼まれもののHP作りで、大忙しでした。 ・・・そんな時間があるなら、拙宅を何とかしたかった(涙)
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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