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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
約束(上)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

「約束、覚えてるよな?試合に招待させてくれ」
「本当に!?おめでとう!」
若林くんからの電話に、受話器を落としそうになる。前に、ブンデスリーガのデビュー戦に招待してもらう約束をした。
「使ってもらえるかは分からないが。良い席を取ってある」
「随分謙虚だね」
「俺はいつだって謙虚だ」
憤慨した振りをする若林くん。そんなことはよく知ってるよ。
「そうだね。君の自信って、ちゃんと自分を知ってのものだもんね」
「そうだ。自分の現状を知るのも実力の内。そうじゃなきゃ伸びないからな」
自分といつも正面から向き合う君の強さに、時々僕は目をそらしたくなる。・・・眩しすぎて。
「来て、くれるよな?」
若林くんに尋ねられて、僕はもう一つの約束を思い出す。

 日本に帰る前に、若林くんを訪ねた。
「また、しばらく会えなくなるな」
電車が来るのを待つ間、若林くんが呟いた。
「うん。でも、またきっとどこかで会えるよ」
サッカーを続けてさえいれば。小学校の全国大会で、フランスのJrユース大会で、サッカーを通じて知り合った友達と再会できた時のあの感動を、僕は忘れていない。エッフェル塔の下で、翼くんと再会した時には、それまでの迷いも吹き飛んでしまった。
 それに、いつかブンデスリーガでデビューする時、試合に呼んでくれると若林くんは約束してくれた。航空券と、一番良い席のチケットを送ってやる、と笑って言った。
「待ってるね」
「ああ。待ってろよ。もうすぐだ」
「うん。ありがとう」
きっと若林くんの言葉通り、すぐ実現すると思った。
 だから若林くんなら、分かってくれると思った。いつか、ではなく、もうすぐ、だと言ってくれると思っていた。でも、若林くんは僕を見て、立ち上がった。そして、ベンチに座る僕の腕を引っ張った。
「!」
つられて立ち上がった僕を、若林くんの腕が包んだ。圧倒的な力を感じさせる程、強い腕に封じ込められて、何も言えなくなる。
「岬、岬」
聞きなれているはずなのに、抑えた声で名前を呼ばれて、胸が苦しくなった。振りほどくことも出来ないまま、僕は動けなくなる。
「若林くん・・・」
胸を締め付けられる苦しさで、息もできない。ぎゅっと抱き締めた腕の中で、僕よりももっと苦しそうに告げられた。
「好きだ」

若林くんが寂しがるなんて、思ってもみなかった。ましてや、そんなに苦しげな声で、告白されるなんて思わなかった。
 すぐに電車が来る。来てしまう。どう答えて良いのか分からない程、頭の中が真っ白になっている。
「若林くん、僕・・・」
言いかけた時に、電車が来た。若林くんは僕の手を離すと、じっと見つめた。
「本当は言うつもりなんてなかった・・・今度会った時に、返事を聞かせてくれ」
電車に乗っても、後ろ髪を引かれるようだった。思いを残したまま、僕は何度も振り返る。駅のホームに立つ若林くんも、じっとこちらを見ていた。

日本に戻ってすぐに、手紙を書いた。転居の挨拶と近況と、今までのお礼は書いたけれど、そのことには触れずにおいた。
 今まで、誰かに告白されたことがなかった訳じゃない。だから、そういう時にどう振舞ったら良いのか、分かっているつもりだった。でも、あの時はどうしたら良いのかも思いつかず、立ち尽くすしかなかった。

「うん、ありがとう。行かせてもらうよ」
ずっと逃げている訳にはいかない。そう答えて、電話を切った。

「試合の前の日なのに、良いの?」
「ああ。来てくれて、ありがとうな」
空港まで迎えに来てくれた若林くんは、いつも通りだった。
「また、背が伸びたね」
「岬こそ」
落ち着いた雰囲気だけではなく、本当に背も伸びて、肩幅もますます広くなっている。あの腕に抱き締められたのだと、意識してしまって恥ずかしくなった。
「・・・岬」
空港は思ったよりも人が多くて、若林くんは僕の肩に手をまわした。導かれるままに、人の波をすり抜ける。はぐれないように、だと分かっていても、顔が赤くなりそうだ。

(つづく)

拍手ありがとうございます。
やっと帰宅いたしました。
身内がインフルで、看護に駆り出されておりました。
それなのに、更新していた辺り・・・。
自分はぴんぴんしております。

拍手お礼:
しゅんな様、いつもありがとうございます。
男同士だからと暑苦しくなってしまいました・・・。
辛い時を一緒に乗り越えたことと共に、きっと良い思い出になりますよね。

さくら様、ジャンフェスお疲れ様です。
来年は30周年の記念なので、DS発売なんです。
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まだ色々未定なのですが、楽しみです。

拍手のみの方もありがとうございました。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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