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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 休暇の度に若林が定宿にしているホテルに着いた。
「明日はどうするの?」
持ち込みのコーヒーメーカーでこだわりのコーヒーを淹れている若林に、こちらもカップを温めている岬が尋ねる。
「久しぶりだし、ゆっくりしようぜ」
その提案自体には異論はない。ただ、当然のように肩にまわる腕に、岬は視線を険しくする。
「この手は何?」
抱き寄せられてしまう前に、岬はあがくが、若林はその抵抗すら楽しむように、抱きすくめて、ソファーに引き倒した。細い手首を捕まえれば、動きを封じるのはたやすかった。
「暴れるなよ。せっかくのコーヒーが零れちまう」
「・・・やっ・・もう、何するのさ」
囁きの後に唇を奪われる。腕を押さえつけられ、何度も何度も唇を重ねられて、岬はもがいた。久しぶりの逢瀬とはいえ、手荒い扱いを受けるいわれはない。
「だって、久しぶりだと思わないか?」
「休みの度にそう言われてる気がするよ」
岬の苦言をかわすように、また、コーヒーの香りのキスが与えられる。抱かれた弾みに、額に散った前髪がさらさらと流れ、白いまぶたにかかる様は、いつ見ても綺麗だと若林は思った。こうして密会する度に久しぶりのような気がするのは、普段一緒にいられないからだ。フィールドでの岬を見る機会に恵まれているだけ、自分の腕の中で微笑む岬を見る度に、新鮮な驚きを感じずにはいられない。
「岬」
唇を重ねる。出会ってから、もう十年近くなるのに、こんなに綺麗なものはない、と未だに思う。優しくて強い魂が、曇りのない瞳や姿形に現れているのだと若林はいつも思っている。
「どうして、そんなに苛立ってるの?」
耳や首筋に唇を寄せられながら、岬はきつい目を向けた。若林が代表に合流してから、こうして会う機会も増えた。それなのに、今日は何だか苛立っているようにしか思えない。
「だって、お前・・・」

 若林は思い出していた。昨夜、夕食時に現れた岬は中途半端な丈のズボンを穿いていた。よく見るような膝丈のズボンだが、岬が穿いているのは見たことがなかった。
「反町にもらったんだよ。いまいち似合わないらしくて」
確かに、明るすぎる色はたいていの男に似合うとは思えない。それでも反町なら平気で着こなしそうだが、自分では似合わないと評するだろう。
「へえ、可愛いな」
「何だよ、それ」
岬は否定するが、松山の言葉に内心賛同する者は多かった。抜けるように色の白い岬には、ベージュピンクもおかしくない。
「岬、足きれいだよな」
側にいた井川の呟きに、若林は賛同しなかった。ユニフォームのパンツとそう丈は変わらないはずなのに、私服だと思うと足の白さやすらりとした線が目に入る。
「やっぱり、岬だと似合うんだな」
「反町を出し抜くのは相当なもんだ。自慢していいぜ」
「何だよ、若島津まで」
あの足は俺の。あの腰も俺の。岬が怒らないのであれば、さっさと全員恫喝した上、岬を抱き寄せるのに。心の中で、岬に触れた者を全員焼き殺しながら、若林はいらいらと爪を噛んだ。

「みんな、岬にべたべたしやがって。じろじろ見やがって」
長年かかって口説き落とした、自分の宝物なのだ。少しも譲る気はない。ソファーで押し倒されながら、そんな告白をされて、当の岬が困っているのもお構いなしに、若林はまくし立てる。
「・・・君って心が狭い?」
「独占欲が強い、だ」
決して誇れることではない。それなのに、誇らしげに言う若林に、岬はいつも感動してしまうのだ。それだけ好きになってくれたことに。それだけ愛してくれていることに。
「岬、誰にもやらないからな」
「・・・うん」
どこか恥ずかしそうに微笑む岬を見つめながら、若林は思った。枷に捕らえられているのは独占欲の強い恋人に縛られている岬なのか、それとも目の離せない自分なのか。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
大変遅くなってしまったのですが、さつき様より頂いた45,000Hitキリリク「嫉妬する若林くん」を書かせて頂きました。ちょうど同じようなテーマで書いていたのがあったのですが・・そっちが長引きそうなので、こんなものに。
さつき様、すみませんでした。そして、リクエストありがとうございました。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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