※二次創作です。同人的表現は含まないでもないです。苦手な方はご遠慮下さい。
昨日の続きです。 全国大会決勝戦。終了のホイッスルと同時に、逆サイドのゴールポストに倒れている岬のところへ駆け寄った。悲鳴をあげている足を無視して走る。 「岬、終わったぞ。やったんだ。俺達は勝ったんだ」 「うん」 俺の言葉に、岬は深く頷いた。可愛い顔は泥だらけで、額からは血が流れている。そして、それよりもなお痛々しい足の怪我。 「若林くん、足大丈夫?」 岬は俺を気遣ってくれるが、お前の怪我こそ、それどころじゃないだろう。 「ほら、掴まれ」 肩につかまらせた。少しも重みは感じない。熱い体温は伝わってくるのに。 「無理するな」 半ば強引に引っ張って体重をかけさせた。人目がなければおぶっていただろう。 「本当に大丈夫?」 岬は恐る恐る体重をかけている。遠慮がちに身を寄せている姿は可愛く思えて仕方なかった。
翼を見送った後、近くの病院に向かった。見上さんが呼んでくれたタクシーで、岬も乗せた。 「僕は・・・いいよ」 言う岬を「俺が心配だろ」と無理やり口説き落として病院に向かった。 岬はそれまで固辞していたが、いざ車に乗った途端に、眠りについた。緊張の糸が切れたのかもしれない。岬を起こさないように、そっと自分の肩にもたらさせる。細くて軽い身体。この小さな身体が、ゴールポストに向かっていったのを忘れない。顔は可愛いが、芯の強い奴だと思う。常に人に優しくて、自分には厳しい人間。 寝顔を見ていた視線を感じてか、岬はすぐに目を覚ました。 「あ、ごめん、僕眠っちゃってた?」 少し恥ずかしそうにしているのが可愛い。 「もう少し寝ててもいいぞ」 「ううん、いいよ。ごめんね」 言ってから、岬は慌てて離れた。もたれていて近すぎる顔に気付いたらしい。 「疲れてるんだろ。すごい試合だったもんな」 「うん、でも勝てて良かった」 そうは見えないのに、岬は勝ち負けにこだわる。過程を大事にしない訳ではないが、それ以上に結果を出したがる。 「やっぱり勝負は勝たないとな」 俺の言葉に岬も頷いた。実力に裏付けられた高いプライドが負けを許さない。その気持ちはよく分かった。
「そういえば、若林くんとこんな風に話したの、久しぶりだね」 岬は決勝戦を振り返る俺に微笑みかけた。 「ああ、そうだな」 久しぶりに俺に向けられた笑顔に、心の中に淀んでいた澱が消えていく。確かに、こんなに近くで話すのは久しぶりだ。 「また、遊びに来いよ」 たったそれだけの言葉なのに、握った手の平に汗がにじむ。 「うん」 岬はものすごく嬉しそうに頷いた。
「僕、人の家に遊びに行くの実は苦手なんだ」 岬がボソッと言う。俺が聞き返すまでもなく、岬は言葉をついだ。 「でも、若林くん家にまた遊びに行きたい」 岬の言葉に、俺は思わず聞き返した。意味がよく分からない。 「たいていのおうちのお母さんって優しくて、また遊びに来いって言うんだけど・・・ね」 岬は優等生だ。成績優秀で家事も一通りできるし、サッカーもうまい。何より、かわいらしい顔をしている。岬を嫌う保護者というのはまずいないだろう。 でも、岬の言葉はよく分かった。よその家でよくされれば、それだけ孤独を感じる。俺も、そうだった。 「まあ、俺の家なら、遅くまでいても怒られることないからな」 俺の言葉に、岬は小さく声を出して笑った。 「他の友達も来て大変だろうけど、また行くよ」 岬は遊びに来い、と言う俺が淋しく見えたのかも知れない。たくさん友達がいるのに、と少し本音っぽいことを言って、でも微笑んだ。
(つづく)
まだショックがおさまりません。 動画サイトで、某声優さんのお仕事を色々見ていて、とんでもないものを聞きました。 ああ・・・。 そりゃ、お仕事なんでしょうけど・・・。 今日の更新が遅れたのはきっとその余波、ということにしておきます。
リハビリに「ヨーロッパからの手紙」を見ました。 友達のうちで夕食をごちそうになって、談笑しながらも顔をしかめている岬くんが 本当に可哀相でした。 リハビリになったのかどうか。
from past log<2008.10.24>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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