※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 若林くんの家に遊びに行くと、着いたばかりだという手紙を見せてくれた。 「この前の写真を送ってやったら、ずるいずるいばっかり書いてきやがった」 手紙は翼くんからだったらしい。あの写真送っちゃったんだ・・・と僕は苦笑いした。この前、ここに来た時に、若林くんのチームメイトが写真を撮ってくれた。若林くんと並ぶと、僕は小さく見えて、何だか複雑な気分になる。 「岬、翼に手紙書いてなかったんだな」 若林くんの言葉に、僕は視線を落とす。 引っ越す前の友達に、手紙を出したことはない。出そうと思ったことはあったけど。
松山、元気にしていますか?サッカー部のみんなも変わりありませんか? 僕は今埼玉にいます。色の黒い奴にやたらとケンカを売られて困っています。 ふらのに戻りたいです。
とか
若島津、元気ですか?僕は相変わらずです。 引越先はみんな親切だけど、明和にいた頃みたいに腹を割って話すような仲間はいません。明和が懐かしいです。 小次郎に手紙を出しても読んでもらえそうにないので、君からよろしくお伝えください。
とか、心では何度も手紙を書いた。淋しいのに楽しいとは書けなくて、淋しいと書いて心配をかけるのも嫌で、ただ心の中だけで、したためた。もちろん、翼くんにも何通も何通も話しかけた。出せなかった手紙は、そのまま僕の心に、積もっている。 「うん。悪い?」 反発する気持ちがあった。意地悪く尋ね返した僕に、若林くんは淡々と答える。 「いや、お前にも色々あるだろうしな。俺もこっちに来てすぐは書けなかった」 「若林くんでもそんなことあるんだね・・・」 若林くんから、そんな答えが返ってきたのは意外で、若林くんも苦労したんだな、と思った。相変わらず、余裕のある鷹揚な態度からは窺い知れないけれど。 「まあな。でも、本当に会いに来てくれて嬉しかったぜ」 「パリに慣れて、気持ちに余裕が出てきたから」 今までは、なかなかそういう余裕は出なかった。若林くんが言うのももっともだと思った。 「いや、それもあるけどな・・会いたいと思ってくれたんだろ?」 若林くんは薄い唇の片方を持ち上げて、笑いを刷く。 「そんなことないよ・・・自信過剰だね」 返す言葉には我ながら説得力がない。友達に手紙も出さない人間だというのは、僕自身が一番よく知っている。その僕がハンブルクまで来てしまったのは、紛れもない事実。 「でも、会いに来てくれた」 若林くんが嬉しそうに笑う。
悔しいから、君なら、手紙を出したことがなくても、僕ぐらい受け入れてくれそうだ、なんて思ったことは秘密だ。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 源岬率が低いので、ちょっと強化しておこう、と思います。 その割りに即席で書いたものをUPってどうなんでしょう・・・。
旧ブログを削除いたしました。 今までありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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