※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 若林くんが七五三の時の写真を見せてくれた。 「あれ、でも、これ二歳じゃないの?」 まだ小さい若林くんが、着物で走り回っている写真を指すと、若林くんは口元をほころばせた。 「兄さん達が七五三の時に、自分もって主張したらしい」 齢二歳にして、若林くんは若林くんだったらしい。可愛くて笑ってしまう。 「若林くんって昔から大きかったんだね」 この写真だって、二歳って書き込みがなければ、三歳で通る。随分しっかりした顔と立ち姿の二歳児だ。 「そうかもな」 笑う若林くんはいつもより少しだけ悪戯っ子っぽくて、この頃の面影を残している。三歳、五歳とアルバムを繰る。五歳の頃の羽織袴なんて妙に堂に入っていて、どこか今の若林くんを思わせる。 「ん、どうした?」 ふと隣に目を遣った。若林くんは僕の視線を感じたのか、流し目をくれた。 「うん…立派になったものだと感心してた」 「惚れ直したか?」 「そんなんじゃないよ」 小さい若林くんはすごく可愛いけれど、きりりとした表情や意志の強そうな目はそのままで、この人の成長を見てきた人達は幸せだったに違いないと思った。 そして、愛されていることが伝わってくる写真に、若林くんが強くて自信たっぷりな理由を見たような気がして、嬉しくなった。 「でも、見せてもらって良かったよ。ありがとう」 一枚の写真をさりげなく隠している若林くんに笑いかける。悪いけど、その写真が、千歳飴二本を両手に持って、一気に食べているシーンなのは、さっき見てしまったよ。 「そう思うなら、お前の写真も見せろよ」 せっかくの頼みだけど、首を振るしかない。そんな余裕もなかったし、一回しか着られない晴れ着とは縁がなかった。 僕の表情から察したのか、若林くんは僕の手を取る。 「初めて会ってから、三年後に会いに来てくれたよな」 そのまま抱きしめられた。あの時に、僕は自分の想いを自覚した。 「五年後に俺が告白した」 僕を抱き込んだ腕は、優しく僕の頭を撫でた。君を信じ切れない僕は、それを冗談で交わした。 「それで、七年後に受け入れてくれた」 こうしているだけで、ドキドキする。頑なだった僕の心は、すっかり君に溶かされてしまった。 七五三は元々は元服に関係した、成熟の儀式だった。比して若林くんと僕の七年間は、僕の心が人を受け入れることを覚える過程だった。 「うまく言うね、君は」 「何なら式もやるぞ。正装用意してやるから」 皮肉を言ったつもりなのに、若林くんは嬉しそうに微笑むと、ちゅっと音を立て、僕の額に唇を当てた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 身内が七五三で、余りのかわいさに狂気乱舞でした♪その感動ときたら全然文章になりません。
以下、拍手お礼: Yさま、いつもありがとうございます。 リクエストに沿えているかどうか大いに疑問でしたが、そう言って頂けると有難いです。 岬くんはともかく、若林くんにおしゃれなスーツを着てもらうには、ファッション業界しか ありえない気がしましたので。足りない部分は想像力で補ってくださいますよう。
さくら様、いつもありがとうございます。 私はもっとむさくるしいところで働いていますので、「盗んで覚えろ」式教育も 靴をダメにする営業、も怒鳴り声と煙にまみれた営業部、も書きたくなかったのですよ。 接客する岬くん、はすごく似合っていると思います。書けておりませんが。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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