※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 今日はY様リクエストの上司部下設定の源岬、です。(パラレルです。) またあいつか、とイライラする気持ちを抑える。店の中で子供に囲まれているのは岬太郎。本社のデザイン部所属から、この支店に配属になって一ヶ月。仕事ができない訳ではないが、現場も経験させてから、という本社の判断は失敗だったと思う。 デザイナー志望にしては、事務処理も早いし、ポップやディスプレイは申し分ない。それが、客あしらいとなると話は別だ。優しくて、人当たりが良いのは美徳だが、それで子供ばかり来るのは困ったことだった。おもちゃ屋ならともかく、ここはブランドショップなのだ。 以前キャンペーンで、この大型スーパーで投票イベントをした。その時に懐いた子供達が、今でも大挙してやって来る。店の雰囲気はぶち壊しだ。 とはいえ、うちは子供服も一部は扱っている以上、邪険にも扱えない。仕方なく、売り場の一部に子供の遊ぶスペースを作ったのだが、それを良いことに子供の声が絶えない店になった。 「でも、ヤングミセス層ではうちの占有率が上がって来てるんですよ」 新人の森崎はそう言うが、店舗を模様替えしただけの成果は上がっていない。 「岬、そっちは良いから、こっち頼む」 「はい」 子供が群がっていては使えない。岬を事務所に下がらせ、在庫の整理をさせた。
子供の帰った頃に岬を売り場に戻した。在庫置き場が整頓された上、人当たりの良い岬はこの時間に来る独身女性にも人気がある。その間に森崎に休憩させて…俺が店長になってから、この店はエリアでは一番の売上を誇っている。まだ陥落する訳にはいかなかった。
「お疲れ様でした」 森崎を先に帰らせ、売上の集計をする。岬にも先に帰るように言ったが、岬は首を振った。 「検算くらいはしますよ」 使い方さえ弁えれば、岬は有能な奴なのだ。ベテランスタッフを何人も異動させられ、新人と新人同然の畑違いをあてがわれたのは痛かったが、俺の力量を示すにはかえって都合が良いのかも知れない。 「若林店長」 伝票を見直していた岬はふと立ち上がったかと思うと、机に何かを置いた。 「これ良かったら召し上がって下さい」 差し出されたのはサンドイッチだった。きちんとバスケットに詰められた彩りに、センスの一端を感じる。 「今日ってボスの日なんですよ。どうぞ」 そう言えば、卓上の日めくりは10月16日を示している。確か、今朝のニュースでもやっていたな。 「じゃあ、遠慮なく」 岬の入れてくれたオシボリで手を拭うと、一つを摘み上げた。マスタードがよくきいたサンドイッチは実に俺好みで、疲れが吹き飛ぶ気がした。 「うん、うまい」 気持ちが落ち着いたところで、コーヒーを運んで来てくれた岬を見上げた。子供もお客も骨抜きになるのが分かった。コーヒーの湯気で和んだ空間に似つかわしい、優しい表情を浮かべて、岬は立っていた。 「店長?」 声をかけられて、我にかえった。いくら綺麗な顔をしていて、うちのブランド全部似合いそうなスタイルに、繊細な指先の持ち主でも、岬は男なのだ。 「いや、何でもない」 疲れているのだ、と思うことにした。早く集計を終えて…と思うのに、視線は岬に向かう。絵に描いたような横顔や白いうなじが、目に焼き付いて離れない。 「岬」 仕方なく、妥協することにした。顔を上げた岬の微笑みに、また眩暈が振り返しそうになる。 「礼におごってやる。これ終わったら行くぞ」 「はい。じゃあ、頑張りますね」 悔しいが、惚れてしまったらしい。これが終わったら、岬と飲みに行く。少し浮かれている自分に、落ち着けと言い聞かせた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。
Y様のリクエストなのですが、また随分違うものに…。仕事のできない岬くん、が想定できなかったのと、お洒落な職業に就いたことがないので、こんなていたらくに…。 しかも本当はこれ、もっと早く書き上げるはずでしたのに。(10月頃に書いていたのです) 悔やんでも悔やみ切れないのですが、また機会があったら続きを書いてみたいです。
携帯の方もカウンターを入れました。これで、キリ番にも参加いただけます。 いや、狙っていただけるかどうかは知りませんが。
以下、拍手お礼: しゃお様、お越し下さってありがとうございます。 「千里眼」の感想嬉しかったです。シューターの心を読む若林くんのこと、 岬くんの気持ちは電話越しでも感じ取って欲しいな、と思いまして。 後はメールにて、させていただきます。
アンゴラ様、お越しくださってありがとうございます。 こちらこそ、いつも萌えとニヤニヤをありがとうございます♪ リンクの貼り替えもありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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