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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
千夜一夜(4)
※二次創作です。色々不都合な表現のある恐れがありますので、苦手な方はご注意下さい。

昨日の続きです。
 試合が終わり、岬は待ち合わせの時間に来た。それからうちに向かう。
「よお。対抗戦なかなかだったな」
「転校初日に若林くんとサッカーできるなんて思わなかったよ」
嬉しい、とその口調が言っている。岬のプレーが見ていて気持ち良いのは、きっとサッカーをしている岬が幸せだからだ。
「岬が味方じゃなかったのは残念だけどな」
「ふふ」
俺の言葉に岬は優しく笑った。敵だからこそ思った。岬が加わってから、ゲームはがらりと変わった。中盤での流れるようなプレーだった。
「でも、こっちに来て良かった。こんなにすぐ友達ができるなんて」
岬の微笑み。その言葉はとても新鮮だった。俺のことを友達、という奴は今までいなかった。
「俺も岬と友達になれて嬉しいよ」
俺の言葉に、岬も頷いた。
「僕の方こそ。これからよろしくね」
差し出された手は小さくて、握りつぶしてしまいそうだった。


岬とサッカーの話をしていたら、滝と来生がやって来た。井沢が塾なので、遊びに来たらしい。
「あれ、何で南葛の奴がいるんですか」
滝の声だった。修哲の奴らはよく俺の家に遊びに来る。親兄弟が不在で、煩く言う人間がいないからだろう。
「そうですよ。南葛の奴らと仲良くするなって言ったの若林さんじゃないですか」
来生も続ける。仲良くするな、じゃない。馴れ合うな、だと言おうとしてふと傍らの岬を見た。
「迷惑みたいだから帰るよ」
すっと立ち上がって、さっさと帰る支度をして。
「ありがとう、お邪魔しました」
素早く帰ってしまった。言葉を挟むな、と言わんばかりの雰囲気だった。怒っている、というよりも悲しいように見えた。俺は呆気にとられていたが、慌てて追いかけた。
「岬、ごめん・・・」
さっきまであんなに笑っていたとは思えないほど、岬は静かな顔をしていた。そのまま透き通って、風景に溶けてしまいそうな、儚さ。
「良いんだよ。だって僕はまたいつ引越すか分からないんだ。他の友達を大事にした方がいいよ」
冷静な、でも優しい言葉だった。大人、なんじゃない。諦めているのだと悲しくなってしまう。
「今日はありがとう。すごく楽しかった」
岬は笑顔で身を翻した。

 俺は部屋に戻ると、二人を怒鳴った。
「俺が言ったのは馴れ合うなって言ったんだ。下手なクセに、文句ばっかり一人前な連中だ。そういうのが俺は嫌いなんだ」
岬は違う。大人で優しくて、ひどい言葉を投げ付けたこいつらを責めなかった。俺のことを心配してくれた。

「だって」来生は言った。「若林さん、見たことないような顔で笑ってるから悔しくて」
・・・何かに殴られたような気がした。別れ際の岬の笑顔が心の中に蘇る。
「楽しかった」
そう言われた時、俺もそう思っていた。誰かと何でもない時間を過ごして、こんなに楽しかったことは今までなかった。
 友達、だと岬は言った。
「今日は帰ってくれ」
考えがまとまらなかった。


(つづく)

長くなりました。

from past log<2008.10.21>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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