
Fighting Fieldさまのハロウィンフリー絵を頂いてきました。 うふふ。 「とりっくおあとりーと」 舌ったらずの挨拶に、笑みを誘われながら、岬はお菓子を差し出した。 「はい、どうぞ。気をつけて帰ってね」 「はーい!」 物騒な挨拶とは打って変わって、お行儀よく返事をすると、小さい狼男と魔女は戦利品を手に帰っていく。 「…けっこう余っちゃったな」 もう日も暮れてきている。可愛いお客はもう来てくれそうにない。綺麗に袋詰めしたクッキーがまだまだ残っているのを見て、岬は苦笑する。今年引越して来たばかりで、加減が分からなかったのだ。 片付けかけたところで、ドアチャイムの音がした。岬はクッキーの箱を抱えたまま、ドアに向かった。 「はい」 ポーチに立っていたのは、吸血鬼。パーティーショップで売られているような代物ではなく、きっちりとタキシードを着込んだ男性が一人。 「Trick or Treat?」 流暢な発音の吸血鬼を岬はじっくり観察した。上等なタキシードを着こなす、随分立派な体格に、端正な男らしい顔。吸血鬼というには、少々血の気があり過ぎるようだが、まとっている風格には、およそ人とは思えない凄みがある。 「クッキーで良かったら」 「美味しそうですね、頂きます」 吸血鬼は微笑んだかと思うと、すっと近寄り、岬の首筋にキスを落とした。 「な、何をっ!」 岬はすぐに跳びのき、玄関に飾っていたクルスを掴む。 「じゃあ代わりにこれをもらっていくぜ。ご馳走様」 突き付けられたクルスから逃れるように、吸血鬼はドアを開け、立ち去った。
「はあ、はあ」 ドアに鍵を掛けてから、岬は座り込んだ。少しはだけられた襟を直そうとして、首筋を見る。 ほとんど触れられはしなかったはずなのに、首には黒い跡が付いていた。まるで、羽を広げた蝙蝠のような跡に、背筋が冷える。箱いっぱいにあったクッキーはなくなっていて、岬は肩を抱えた。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 素敵イラストを頂いて来ましたので、つい。 恋人イチャイチャにしようか考えましたが、最初に浮かんだものにしました。… 素直にイチャイチャにしておけば・・・。
from past log<2009.10.28>
スポンサーサイト
テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
|