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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
trick or treat
113.jpg

Fighting Fieldさまのハロウィンフリー絵を頂いてきました。
うふふ。
「とりっくおあとりーと」
舌ったらずの挨拶に、笑みを誘われながら、岬はお菓子を差し出した。
「はい、どうぞ。気をつけて帰ってね」
「はーい!」
物騒な挨拶とは打って変わって、お行儀よく返事をすると、小さい狼男と魔女は戦利品を手に帰っていく。
「…けっこう余っちゃったな」
もう日も暮れてきている。可愛いお客はもう来てくれそうにない。綺麗に袋詰めしたクッキーがまだまだ残っているのを見て、岬は苦笑する。今年引越して来たばかりで、加減が分からなかったのだ。
 片付けかけたところで、ドアチャイムの音がした。岬はクッキーの箱を抱えたまま、ドアに向かった。
「はい」
ポーチに立っていたのは、吸血鬼。パーティーショップで売られているような代物ではなく、きっちりとタキシードを着込んだ男性が一人。
「Trick or Treat?」
流暢な発音の吸血鬼を岬はじっくり観察した。上等なタキシードを着こなす、随分立派な体格に、端正な男らしい顔。吸血鬼というには、少々血の気があり過ぎるようだが、まとっている風格には、およそ人とは思えない凄みがある。
「クッキーで良かったら」
「美味しそうですね、頂きます」
吸血鬼は微笑んだかと思うと、すっと近寄り、岬の首筋にキスを落とした。
「な、何をっ!」
岬はすぐに跳びのき、玄関に飾っていたクルスを掴む。
「じゃあ代わりにこれをもらっていくぜ。ご馳走様」
突き付けられたクルスから逃れるように、吸血鬼はドアを開け、立ち去った。

「はあ、はあ」
ドアに鍵を掛けてから、岬は座り込んだ。少しはだけられた襟を直そうとして、首筋を見る。
 ほとんど触れられはしなかったはずなのに、首には黒い跡が付いていた。まるで、羽を広げた蝙蝠のような跡に、背筋が冷える。箱いっぱいにあったクッキーはなくなっていて、岬は肩を抱えた。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
素敵イラストを頂いて来ましたので、つい。
恋人イチャイチャにしようか考えましたが、最初に浮かんだものにしました。…
素直にイチャイチャにしておけば・・・。

from past log<2009.10.28>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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