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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
頼まれ物(3)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 せっかく若林くんが来てくれたのだから、と普段行かないエッフェル塔に行ってみた。シャンゼリゼのカフェにも行ってみたかったし、利用させてもらう、と言うと、若林くんは
「じゃあ、よきにはからえ」
と笑った。
「君いくつだよ」
「お前より若いよ」
お決まりになった会話の中、僕はさっき若林くんが見せた表情をようやく忘れることができた。

 さっき若林くんは一瞬怖い顔をした。整っているだけではなく、何ともいえない品のある若林くんは、ほんの少し眉間を寄せるだけで、迫力が出る。サッカーをしている時なんか余計で、男の僕から見ても、すごくかっこいい。見つめていたのが、そういうビデオじゃなきゃ本当に良かったんだけど。

 フランス語しかない、と言ったのが悪かったのかな?と言っても、僕は実際には見たことがない。僕のうちにはビデオもないもの。若林くんの役に立つなら、良かったくらい。若林くんはいつも、僕にお土産をくれるけど、僕には無理そうだ。それでも、シャンゼリゼで何か良い物を見つけたら、買おうと思っていた。

「高いなあ・・・」
「うん・・・。僕も上ったのは初めて」
エッフェル塔に上がった。万国博覧会で鉄のお化け扱いされたのが嘘のように、観光客も多い。
「土産屋も見て行こうぜ」
手を掴まれて、かっと血がのぼった。これだけ人も多いから、手を繋いだ方が良いのは分かっている。それなのに、何だか恥ずかしい。

「これ、良かったら・・・」
帰り着いた家で、僕が差し出した紙袋に、若林くんが不思議そうな顔をする。
「絵葉書、買ったから」
若林くんの隙を見て、買った。今日の空みたいに晴れた写真が気に入ったから。一緒にシャンゼリゼを歩いて、一緒にカフェに行って、一緒にエッフェル塔に上って…手を繋いだ思い出に貰ってほしかった。
「・・・俺、貰ってばっかりだな」
「君だって、いつもお土産をくれるじゃないか。それに、もう一つはあれ、だし」
口ごもった僕に、若林くんは静かな眼差しを返してきた。
「せっかくもらったけど、俺は見れそうにない」

(つづく)

(4)へ

拍手ありがとうございます。
先日、アクセス解析を見ていたら「松山 岬」で検索して来て下さった方がおられました。
・・・拍子抜けですみません。

from past log<2009.10.23>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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