※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 今日は顰蹙モノかも。真面目な方は読まない方が良いかも知れません。 父さんがスケッチ旅行に行くから、と家を空けた連休初日に、僕の家を訪れてくれたのは若林くんだった。もう、何度か来たから一人でも大丈夫だと、事前の連絡なしだった。予想していなかったけれど、たまたまどこのチームの助っ人も引き受けていなくて、良かった。 「どこか、行きたいところってある?」 若林くんは今まで何度か遊びに来てくれたのに、あまり案内してあげられていない。パリは色々見るところも多い街だけど、若林くんが何に関心があるのかよく分からなかったこともある。 「ルーブルでも、オルセーでも、エッフェル塔でも案内するよ」 行った僕に、若林くんは小さく首を振る。 「岬の都合もあるから、気にしなくても良いぜ。それより、一つ頼みがあるんだが…」 若林くんに何か頼まれる、というのは今までなかった。 「何?何でも言ってよ」 僕の言葉に、若林くんは切り出しにくそうに口を開いた。若林くんには珍しいことだから、悪いけど興味が沸く。 「そういうビデオを土産に頼まれたんだが…」
今ではこうして行き来しているけれど、元々若林くんと僕はたいして親しかった訳ではない。同じ学校に通ったこともないし、南葛SCでチームメイトだったというだけだ。でも、あの夏は転校続きの僕にも忘れられないような夏だったし、同じヨーロッパにいるのだから、という甘えもあったのかも知れない。突然会いに行った僕に、若林くんは優しかった。小学校の頃の若林くんは、すごく大人びているけれど、その分肩肘が張っている感じがして、僕は苦手だった。もっと、子供らしくすれば良いのに、とも思っていた。思えばそれは同族嫌悪に近いものだったのかも知れない。それに比べると、今の若林くんは家の重圧から解放されたのか、何だか自然体で、見ていても気持ちが良い。 「若林くんが、そんなこと頼まれるなんて、想像もしなかった!」 思わず笑ってしまった僕を咎めるような視線に、つい口にした。小学校の時は同級生の井沢くん達に「さん」付けで呼ばれていた若林くんだ。そんな小学生、全国を旅した僕だけど、他には小次郎くらいしか見たことがない。 「…悪かったな。カルツがフランスに行くなら買って来てくれってうるさいんだ」 「フランスに行くって話したの?」 カルツ、とは何度か顔を合わせたことがある。「フロイライン」なんて失礼なことを言うから、にらみつけた覚えすらある。それをげらげら笑い飛ばしてくれたのもよく覚えている。 「いや…ニヤニヤしてたから、分かったみたいで」 「ニヤニヤしてたの?」 気になったから尋ねただけだけど、聞いてはいけなかったみたい。若林くんは少し赤くなって黙り込んだ。何を考えてたんだろ。
「これで良かったら、あげるよ」 僕は日本に帰国した同級生からもらったビデオを取り出した。親に見つかったら嫌だから、と他に色々置いて帰ってくれたから、何人かで分けたのだけど、これは何となく出しにくくて、そのまま僕の手元に残ってしまったのだ。それを説明すると、若林くんは僕に負けず劣らず笑った。 「はは、失礼、岬ってそういうのを押し付けられそうな気がする」 「本当に失礼だよ」 そう言いつつ渡しかけて、ふと考えた。 「若林くん、これ、フランス語なんだけど…」
(つづく)
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拍手ありがとうございます。 今日は古本屋で散財してしまいました。大阪に行くとつい…今月何回目なんだか。
from past log<2009.10.20>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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