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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
卵(2)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 僕が、若林くんの卵を産む?

 若林くんの言葉は意味不明だった。固まってしまった僕に、若林くんはにこにこ笑いながら、僕のお腹や背中を優しく撫でる。
「な、何を言って・・・」
人間は卵を産まない。ましてや、僕は男だ。子供だって産むことは出来ない。そんなことは自明の理だ。それなのに、若林くんは今にも産まれるかのようないたわりの手つきで、僕の腰を撫でる。
「一晩愛し合ったんだから、当然だろ?岬に似た子が生まれると良いな」
いかにも当然のように話す若林くんは本当に幸せそうで、そうだったらどんなに良いか、と僕は想像した。二人をつなぐ絆を僕が生み出せて、ずっと一緒にいられるのなら、どんなに素敵だろう。でも、そうじゃないことを僕はよく知っている。
「どうしたんだ、岬?」
困った顔で見上げた僕に、若林くんは頭を撫でてくれた。大きな掌の温かい感触に、心細さはすぐに解けた。
「僕は卵は産めないよ」
小さな声で呟いた僕に、若林くんは優しく囁く。
「まだ、足りないか?」
不意に与えられた口付けに、驚いた。何回も何回も唇を合わせてから、若林くんの腕は離された。
「ほら、大丈夫だろ?」
若林くんが触れた僕のお腹は確かに膨れていて、僕はどうしていいのか分からなくなった。

 それから、若林くんが触れる度に、僕のお腹は膨らんだ。キスに呼応するように、お腹が動く。
「絶対、大事にするから。岬もこの子も」
若林くんが言ってくれる度に嬉しくて、またお腹が疼く。そんな言葉で気持ちが動いてしまう位、僕は君が好きなのだと、改めて自覚してしまう。
「ありがとう」
たくましい胸に抱かれ、鍛えられた腕に包まれて、僕は目を閉じた。

 目が覚めると、若林くんが僕を見つめていた。優しい眼差しに幸せを感じた僕は、ついお腹に手をやった。
「あれ、卵は?」
「卵?」
「そう、君と僕の・・・」
不思議そうに見る若林くんの表情で、僕は異変に気付いた。卵?あれ?僕、何を口走った?
「岬?」
僕を見下ろす若林くんは少し目が疲れている様子で、あまり眠っていないように見えた。
「あ、ごめん、寝ぼけちゃって・・・若林くん?」
真剣な表情で抱き締めてくる若林くんに、戸惑う。体勢を変えようとして、自分の身体がひどく痛むことに気付いた。
「あ、痛むか?・・・ごめん、岬、俺・・・」
そうだ、僕は昨日、君に抱かれた。指の跡が残る程、強く抱き締められて、苦しくて仕方なかったのに、想いが止められないと言われる度に、その痛みすら和らぐようだった。
「辛くないか?」
気遣って覗き込んできた若林くんの顔を見返した。

 痛くない訳がなかった。君の腕には僕が立てた爪の跡がついている。手加減できないと嘆く君が強くするから、涙が止まらなかった。

 でも、それすら許してしまえる位、僕は君のことが好きだ。

 夢の中では、それこそ卵を産もうと思う程。

「大丈夫だよ。・・・君に愛してもらったんだから」
笑いかけた時、胸の中で卵が疼いた気がした。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
これはYさまのリクエスト・・・のはずだったのですが、
すみません、全然別物ですー!!
こんな筈ではなかったのですが、最近読んだ『観/用/少/女』に引きずられて
こんなモノに…。

以下拍手お礼:
Yさま、お祝いコメントありがとうございます。
あらぬ方向に進んで、本当に申し訳ないです。
八つ橋はつい食べ過ぎるほど、おいしいと地元びいきの私は思いますが、
辛味もちもおいしそうですね。

M☆さま、お祝いコメントありがとうございます。
パソコンの調子が悪いのは辛いですよね。
携帯で見て下さる方も多いので、画像も携帯で見られるように心がけていますが、
見られないようでしたら、おっしゃってください。できるだけ対応させていただきます。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。

from past log<2009.10.18>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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