※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 見送りに来てくれた若林くんに気付かれないように、小さくため息をついた。 見送りなんか良いのに、と言ったけれど、若林くんはついて来てくれた。 「少しでも一緒にいたいから」 そう言われたら、断ることなんて出来なかった。
だって、僕もそうだもの。
時計をちらちら見る。いつ電車が来ても不思議ではないのに、もう少し遅れてくれたら良いのに、って思った。 「電車、来なけりゃ良いのに」 若林くんの冗談に、声を出して笑ったけれど、何だか寂しくて仕方がない。若林くんと顔が合わせ辛くて、何度も視線でなぞった駅の景色は目に焼きついているようだ。
若林くん、知ってた?僕、見送ってもらうのが苦手なんだよ。
見送ってもらったら、別れたことが確実になるように思えた。雪が降っているのに、いつまでも赤いマフラーを振り続けてくれた松山や、怒ったような顔で僕を睨みつけていた小次郎のことを思い出したら、今でも胸が痛む。
「若林くん、やっぱり・・・」 言いかけた僕の顔を、若林くんはじっと見下ろしていた。 「三年前は間に合わなかったから、な」 「・・・もしかして、見送りに来てくれたの?」 僕の問いかけに、若林くんは暖かい笑顔で頷いてくれた。 「お前が旅立つって聞いたら、じっとしていられなくなってな・・」 はっきりとした字で、若林くんがサッカーボールに書いた言葉は、「俺も旅立つ」だった。その時は意味が分からなかったけれど、サッカー雑誌で若林くんを見た時に、その意味が分かって、すごく嬉しかった。遠く離れていても、つながりは消えないものだと、強く感じた。
さよなら、を言わずに別れたら、またその場所に戻れば、みんなが待ってる気がしていた。
まるで、昨日の続きの明日みたいに、そこからやり直せるような気がしていた。 でも、あの時、僕を見送ってくれなかった若林くんは、いつの間にか西ドイツにいて、今度こそ僕を見送ってくれている。
強く望みさえすれば、サッカーという絆がある限り、僕が今まで結んできたつながりは消えはしない。
「また、来てくれよ」 僕の手を包み込む若林くんの手は暖かくて、また会う時までこのぬくもりを忘れたくないと思った。
(おわり)
「プラットホームB」
拍手ありがとうございます。 「見送り」話です。セリフだけ先にあったので、肉付けをして使ってみました。 うまくできたかはともかく。
以下、拍手お礼: なお様、こちらこそいつもありがとうございます。 私も少しくらい翼くんについて考えてみました。岬くんには、翼くんについていくのでなく、乗り越えていく道を選んでほしいと思います。勝ち負けではなく、道を分かった時に岬くん自身の旅が始まるのだと信じて。 若林くんとの勝負に執着するのは岬くんの方だと思っています。だから、「ニコッ」と笑ってフェイントかけるくらいはしちゃうかと(笑)。
しゅんな様、いつもありがとうございます。 岬くんの涙、というと「ボクは岬太郎」の泣き方をつい思い出してしまいます。 ぴったりのお言葉がとても嬉しかったです。 岬くんの涙って本当にきれいな気がします。 こちらこそ、またお邪魔させていただきます♪
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
from past log<2009.10.14>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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