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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
妄想 その後
すっかりシリーズと化した「妄想」ですが、( 「妄想」 「妄想 その2」
「妄想その3」で書いた若林くんの帽子を被る岬くん、を描きたくなってしまって。
今回はサッカーしていません。

vs.jpg

 雑誌に掲載された写真を、もう一度見た。親友対決、と銘打たれた勝負を制したのは岬だった。記事は二人が今までナショナルチームで一緒に戦ったことにも言及する。二人が戦うのは初めて、というキャプションを頭の中で訂正した。

 二度目、だ。

 あの対抗戦を何度も何度も思い出した。あの対抗戦で、途中から加入したにも関わらず、岬はすぐに南葛小チームに馴染み、打ち解け、信頼関係を築き上げた。サッカーは絆なのだという思想はその時と変わらないらしい。敵として戦って、いっそう実感し、嬉しく思った。

「早速これが役に立ったよ」
大きな帽子で顔を隠し、岬は忍んで来た。そうでなくても、ユニフォームを脱いだ岬は小柄で華奢なので、とてもサッカー選手には見えない。
「こちらこそ、使ってもらえて光栄だ」
普通はユニフォームの交換をするところだが、岬の肌をさらすなんてとんでもない。そこで帽子を渡すに至ったのだが、岬が喜んでいる様子なのが嬉しかった。
「君と戦うなんて緊張したよ」
ルームサービスで頼んでおいたシャンパンを出す。杯を交わした岬はそう微笑んだ。
「俺も」
「まさか」
岬は笑ったけれど、緊張したのは本当だった。お互い手の内は知り尽くしている。岬のように、自チームの様子を他チームの空気を読むのに長けた選手はそういるものではない。頭では分かっていたが、実際に戦うのは大違いだ。
「お前と翼の対決は絶対見に行くからな」
俺の言葉に、岬は小さく笑ってみせた。一瞬だけ垣間見せた険しい表情をすっと笑顔に隠す。
「応援してくれるの?それとも、敵討ちをけしかける?」
俺とお前と翼と。ずっと三人で走ってきた。岬と二人きりの時にはそうでなくても、サッカーを絡めた時には、岬の向こう側にいる翼を意識せざるを得なかった。だが、岬はピエールを選んだ。そうして翼と戦う選択をした岬を、断ち切る戦いを選んだ岬を、応援しない訳がない。
「もちろん、応援するに決まってる。絶対勝てよ」
「ありがとう。君に恥じないよう戦うよ」
岬の瞳に燃え盛る炎が見える気がした。真剣な眼差しは優しい顔を引き締めて、凛々しく見せる。綺麗だ、と思った。
「ああ、期待してる」
滅多に見られない表情だけに惜しいが、逢瀬の時間はすぐに過ぎてしまう。見上げてくる岬を、そのまま抱き締めた。
「お前にはずっと参ってるからさ」
初めて会った時から、ずっと。

 売店で買った今回の試合の特集雑誌を閉じた。スタジアムは盟友対決を見守る観客で溢れている。

 これから、世紀の対決が始まる。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
GC月間ということで、書いてみました。翼くんの台詞ありません(笑)。
今後書くことがあるとしたら、対戦している二人を書くんじゃないかと思います。

拍手お礼:
川澄ちょこ様、新サイト公開おめでとうございます!
前にもまして可愛らしい素敵サイトで、その溢れるセンスを分けて下さい…。
若林くんはあらゆる意味でSGGKだと思います。常に大事なものを守っています!なんて。
ますますのご活躍楽しみにしております。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。

from past log<2009.10.13>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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