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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
眠りの森の王子(6)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
やっと最終回です。ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。



 我慢はそう続かなかった。甘そうな唇が、伸ばされた白い喉元が、まるで誘うように見えて、ワカバヤシ王子は腰を屈めた。外界の嵐など知らぬ、安らかな眠りの中を、そっと唇を重ねる。
 冷えかけていたはずなのに、唇は温かかった。
「!」
しかも、口付けている内に、少しずつ温かみが増してくるのを感じて、ワカバヤシ王子は夢中で口付けた。元々夢中だったキスが、どんどん深くなっていくにつれ、ミサキ王子を抱き締める力も強くなっていく。肩にまわしていた腕が背中にまで伸び、全身を抱く内に、気づけばミサキ王子を抱き上げてしまっていた。

「・・・あれ?」
ゆらゆらと揺らされて、ミサキは目が覚めた。自分がどこにいるのか、どんな状態かもよく分からないまま見渡せば、自分を抱き上げ、うっとりするようなキスをくれる相手には見覚えがある。
「ワカバヤシ王子?」
ぱちぱち、と瞬きをしたミサキ王子に、ワカバヤシ王子は嬉しそうに笑った。そのまま、ぎゅっと抱き締められて、戸惑わずにはいられない。何より、ワカバヤシ王子は顔といい、腕といい、傷だらけに見える。
「どうしたの?大丈夫?」
ほっそりした指で、頬の傷を撫でられると、その痛みが消えていく。これこそまるで魔法だな、とワカバヤシ王子は口元をほころばせた。
「何でもない、大丈夫だ。・・・会いたかったぜ」
何でもない訳がない。いばらをくぐり抜け、満身創痍のまま、薔薇戦争をかいくぐって脱出しているのだ。それでも、ミサキを守れた。
「ありがとう。助けてくれたんだね」
魔法使い達が集っていたのまでは覚えている。そこから、ワカバヤシ王子の腕の中にいるのだから、おそらく助けてもらったのだろう。いつの間に庭に出たのか、月が傾いているのが見えている。
「ああ、約束したからな」
心に、針を刺されたのは俺の方だったのかな、とワカバヤシ王子は思った。

 ミサキ王子が助け出されたことで、呪い返しは成就した。華麗極まりない秘術を応酬する薔薇魔法使い達を漁夫の利で封じ込め、白魔法使いヒカルが白い布を巻きつけた杖を振ると、白い雪が降ってくる。雪が触れる度、いばらは縮んで、ゆっくりと城は蘇っていった。
「やっぱり、白魔術が一番だな」
自讃するヒカルの眼下には、庭で笑い合う二人の王子の姿があった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
ある方とメールでやりとりをしていて、岬くんの心の壁を突破する眠りの森の王子林、とか冗談を書いたら、書きたくなってしまって・・・。
シュナイダーやピエールの妨害にいばらのつる、とか増やしていったら、どんどん長くなりました。しかも、ビジュアルイメージだけで書いてしまったような話ですし。
小ネタ入れるのが一番の楽しみでした♪

銀月星夢さま
メールでお返事したので油断してしまい、お返事が遅くなってすみませんっm(_ _)m
どうぞ、どうぞ、お持ち帰りくださいませ。
そう言っていただけるとは思わなかったので、ちょっと喜んでしまっております。
気が変わられない内に、是非。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。

from past log<2009.9.29>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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