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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
眠りの森の王子(4)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

4

「お前は、誰だっ」
ワカバヤシ王子は目の前に現れた魔法使いに鋭い目を向けた。

「ワカバヤシ、どこへ行く気だ?」
馬で出かけようとしたところを見咎められ、ワカバヤシ王子はカール王子を睨み返した。
「今日はミサキの誕生日を祝う会だと聞いている。行って悪いか?」
呪いは解けたと言われているが、何が起こるかさだかではない。カール王子が引き止めるのは当然のことと言える。しかし、ワカバヤシ王子は諦めようとはしなかった。
「だから、行くんだ。・・・今日会えなかったら、もう会えないかも知れないんだぞ」
そう言って走り出したものの、馬の鞍が隠されていたり、手綱が切られていたり、と散々で、カルツ王子の助けも借りて、ようやく駆けつけた頃には、城自体が緑に埋もれていた。

 小さいが、白壁の美しい城には、ミサキの作った庭があった。以前、忍び込んだ時には、その庭でミサキはゆったり陽に当たっていた。靴も脱ぎ、白い踵を晒して座りんだミサキは、遠くの空を眺めていた。その光景が夢のように美しかったことを思い出して、ワカバヤシ王子は城に入る決意を固める。そこで魔法使いに会ったのだった。

 城が奇妙な状態になっているところに、突如現れた魔法使いが胡散臭くない訳がなかった。しかし、魔法使いは友好的に手を出し、そして笑った。
「俺はヒカル。この国の魔法使いだ。お前はミサキを助けに来たんだろ?」
涼しい顔立ちの魔法使いは、疑いの眼差しすら愉快そうに受け止めて笑った。
「今日中にミサキを助けてくれたら、呪いは完全に解ける。できるか?」
「そうするつもりだ。どうすれば良い?」
ヒカルの邪気のない笑顔に、ワカバヤシ王子はこの魔法使いをひとまず信じることに決めた。
「ミサキはおそらくこの城の一番奥だ。いばらがすごいことになっているが、この剣なら掻き分けられないことはない。ただ、派手な格好をした魔法使いには気をつけろ」
ヒカルの言葉に、ワカバヤシ王子は深く頷いた。試しに渡された剣で近くのいばらに触れると、いばらはすぐに開いていった。
「それはやるから、行けっ」
ヒカルの叫びを待たずに、ワカバヤシ王子は走り出した。

 剣で触れればいばらは開くものの、城の中を進む程に、いばらは密集していく。とげの重なり合っている中を無理やり切り開く内に、腕に、膝に、頬に、傷が刻まれていく。
「ミサキ・・・」
今日中に、と魔法使いは語った。さほど大きくはない城だが、どこまで進んだのか見当もつかなかった。ただ、奥に向かっていることだけは確かで、ワカバヤシ王子は傷だらけの手足を動かす。
「・・・ヒカルめ」
人の声を聞いた気がして、ワカバヤシ王子は振り返った。おそらくこの国の人々であろう人影は倒れている者ばかりで、話のできる状態の者などいなかった。
「・・・魔法使いか」
振り返った先にいたのは、確かに魔法使いだった。瑞々しい薔薇の葉の色のマントに、黄薔薇の色の装束は床まで伸びている。
「ミサキは助けられないと思うよ。ピエールが気に入った様子だからね」
まさしく、ヒカルの話はこの魔法使いのことだったのだ、とワカバヤシ王子は先を急ごうとする。だが、ジュンはもう一度話し掛けてきた。
「待ちたまえ。奥にはもう一人魔法使いがいる。彼は強いよ。どう立ち向かう?僕を解放してくれたら、手を貸すよ」

(つづく)

拍手ありがとうございます。
本日、キリ番45,000だったようなのですが、深夜に通過されたようで・・・。
もしかして、うちは声がかけにくいのでしょうか???
ちょっと考えたりして。
次回は50,000です。またその頃に通知いたします。

拍手お礼:
なめこおろしさま。お久しぶりです。お祝いメッセージありがとうございます。
そんなお気遣いいただかなくても、大丈夫ですv
1周年記念のお祝い、見せびらかした甲斐がありました♪
「水遊び」妄想楽しかったです。SGGK、マメすぎるですってば。でも、愛ですねv

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。

from past log<2009.9.27>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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