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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
お土産(4)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。



「小次郎、小次郎ってば」
さっきまで考えていた相手の顔がすぐ側にあって、日向は驚いたものの、何でもないふりをして立ち上がった。
「いつまで経っても戻って来ないから・・・松山なんか、寝てるんじゃないかって」
「・・・松山め」
くすくす笑う岬は、いつも通りだ。日向と相通じる境遇の岬は、生まれた月が早いから、と時々年上ぶる。それに付き合っている訳でもないのだが、岬に叱られると、自分が本当に悪かった気がして、日向の苦手とするところだった。
「大丈夫?元気出た?」
優しい笑顔で覗き込まれて、日向は少し後ずさりした。岬の整った顔に、わずかに開かれた唇が目についた。
「み、岬」
「何、どうしたの、小次郎?」
見た、とは言えない。意識すればするほど、長い睫毛や柔らかそうな髪が気になる。例えば、この岬を恋人にするのに、そう迷いはいらない気がする。だが、岬はどうなのだろうか。あの、若林で良かったのか?気をそらせようと考え始めたことが、今度はどんどん膨れ上がっていく。
「・・・若林から、お前にも心配かけたって聞いたから」
「うん。小次郎って若島津がいないとこんなにへたれだったのかって思ってさ」
若林にならともかく、花のような笑顔の岬にへたれ、と言われては敵わない。噛み付く元気もない日向は、独り言のように呟いた。
「岬、お前、恋をしたことあるか?」
「恋?」
岬の顔がみるみる赤くなっていく。色白の肌がほんのり染まった様子は、岬を恋い慕う者でなくとも、目を奪われるだろう。
「そう、付き合ってる奴、いるんだろ?」
攻勢に転じたことを悟り、日向は少し声を上げた。同時に悟らざるを得ない。普段はしっかり者の岬でも、恋には我を失うらしい、と。
「・・・うん、いるよ。一緒にいると、どきどきするけど、気持ちが楽になるよ。・・・一人じゃないって思えて、強くなれるし、何より、自分が自分でいられる気がするんだ」
微笑んだ岬は、長い付き合いの日向が今まで見たことがないくらい可愛かった。それまで見たことがないほど幸せそうに微笑む岬に、思わずその向こうにいる相手に嫉妬したくなるようだった。
「・・そうかよ」
岬の言葉はよく分かった。自分にもこの間まで、そんな相手がいた。
「小次郎」
日向が気付くと、岬はまっすぐな目で、自分を見つめていた。常に側にいて、おせっかいな位世話を焼いてくれた若島津とは違い、岬は静かな目で眺め観察して、必要な時に助言をくれる友達だった。
「若島津を迎えに行きなよ」
真摯な眼差しで、岬は口にした。

(つづく)
拍手ありがとうございます。
次回で終わりです。最初から最後まで構想はしたのですが、色々変更してこの形に。

調子の悪かったマウスを変えたら、やっとスッキリしました。
これで安定すれば良いのですが。

拍手お礼:
さくら様、いつもありがとうございます。
遅くなってすみません・・・。
何とか終わりまで持っていきますので、ご勘弁を。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。

from past log<2009.9.18>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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