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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
お土産(3)
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。


「な、何だと・・・」
予想だにしなかった若林の言葉に、日向は動揺を隠せない。何しろ、若島津はもう10年以上自分の側にいて、恋人、のような甘い関係ではない。一緒にいるのが当たり前のような、ほとんど空気のような存在だった。だからいなくなった途端、息の仕方すら忘れたかのように、苦しくなったのだと思っていた。
「俺には分かる。好きで、苦しくて情けない気持ちが」
何不自由のない暮らしに、サッカーでは才能に恵まれ、自信に満ち溢れていた若林をある日捕らえた物思いは、その自信を粉々に打ち砕いた。翼と楽しそうに走る後ろ姿に、それを見ているしかできなかった自分に、がっかりした。
「そんなはずはない、若島津は家族みたいなもんだ」
人一倍冷静で頭の切れる若林と岬を変貌させる恋。その情熱が自分の中にあるとは思えない。ましてや、いつも一緒にいた若島津に対して、そんなことが。真っ赤になって否定する日向に、語るに落ちる、と若林は呆れた。
「まあ、否定するのはお前の勝手だが、練習に支障はきたすな。分かったな?」
「な、な・・・」
反論できない自分の舌を日向はもどかしいと思った。それは違う、と思っていても、恋すらどんなものか分からない自分に、今の若林を論破できるとは思わない。お前は、恋をしているのか?聞こうものなら、きっと鼻で笑われるに違いない。
「岬も心配してたしな」
若林の口から、岬、の名前を聞き、日向は頭の血が逆流するかと思った。なるほど、これは確かに岬のやり口だ。それに気付かなかった自分は、無意識にそのことを考えまいとしていたに違いない。
「顔、元に戻ったら練習に戻れよ。まあ、お前は色が黒いから分からんか」
「っぬかせっ!」
悪態をついて背を向ける若林に、ひとしきり喚いてから日向は冷たいコンクリートの壁にもたれた。岬は、昔からよくもてた。男女問わずに好かれていたが、岬は誰にも心を許さなかった。友達、は多かったが、特別な相手を作ったことも浮いた話も聞いたことがない。その岬さえ他人に自分を許したのだから、恋とは恐ろしいものだと思う。
「若島津・・・」
会いたいのかどうかももはや分からなかった。

(つづく)
拍手ありがとうございます。
全日本の父、若林くんの本領発揮です。
日向くんって本当に鈍そうじゃないですか?
でも、妹に虫がついたのだけはすぐに分かりそう。

・・・イヤな兄貴です。

from past log<2009.9.17>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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