自分でも忘れていたような1周年ですが、 ほっぷほっぷ のなお様より、お祝いのお話を頂いてしまいました!
しかも、ちょっとオ・ト・ナなお話だったりします。
※23:20落書きを追加しました。えへへ 「う・・・ん・・・」 自分をなでる温かい手を感じて、岬は静かに目を開けた。隣にいる若林の優しい目が映った。 「眠らなかったの?」 「あぁ・・・」 暗く二人きりの空間に若林の声が響いた。
男が二人、何もまとわずに同じベッドで横になる。 若林源三と岬太郎。 二人がこういう関係になって、もうすぐ一年になろうとしていた。 互いの存在を互いの肌で確かめ合う。 事が済んで力の入らない体を重力に任せ、隣の恋人のぬくもりを感じる時間が、岬は好きだった。 横にいる若林が、満ちたりた表情から優しく向けてくる瞳に、言葉では表すことが出来ない幸せを感じる。 そのとき、こんな表情を若林にさせることが出来るのは、自分だけだと確信をする。 若林を愛しいと思う自分が愛しくもある。
「・・・・若林くん?」 いつものように幸せを感じていた岬だが、若林の表情に、いつもと違う迷いを感じた。 「どうしたの?」 「いや・・・なんでもないよ」 「なんか・・・へん・・・」 「いや・・・あの・・・」 「なに?」 「あの・・・さ・・・」 口ごもる若林に、 「なんか・・・ボク・・・悪いことした?」 自分に非があったのでは?と、思い返してみても、これと言って思い当たる節はない。 いつもと同じ・・・だったと思う。 足りないのかな? と、若林の表情を鑑みる岬に、若林から出た言葉は、岬の予想の範疇をはるかに超えていた。 「あの・・・お前・・・抱かれるの・・・イヤじゃないか?」 「はぁ?」 岬は、思わず起きあがった。 だって・・・あの・・・あの・・さ・・・あんなこと、こんなことしておいて、あんな声、こんな声、自分のものとは思えない声を出させておいて、何を今更? それとも、自分が若林にそう思わせる行為を無意識にしたのだろうか? 言われたことへの突拍子さに口を開けたままの岬は、今までの自分を振り返る。が、戸惑いよりも前に恥ずかしさの方がこみ上げてくる。 思い出しちゃダメだ?! 四肢のダルさと裏腹に、下がったばかりの体温が上がるのを感じた。 次の言葉を繋いでこないところを見ると、若林も質問をするまでに葛藤があったのだろう。 自信満々のいつもの顔は、どこへやら、岬がどんな返事をするだろうと、不安を隠せない顔がそこにある。 「え?だって・・・」 「いや・・・あの・・・」 岬のすべてを包み込むような ・・・この身を若林に委ねたら、もっと、楽に、自分が自分でいられる・・・ そう思わせるいつもの雰囲気とは違う。今の若林は、何をきっかけにそう思ったのか分からないが、二人の中の暗黙の関係をくつがえしかねない問いを投げかけている。 「ずっと、そう思っていたの?」 今度は、岬が問うた。 「いや・・・最近・・・」 「そう・・・どうして?どうして、そう思ったの?」 上がった温度を下げるように、冷静に慎重に岬は、聞いた。
一年前、岬の気持ちと自分の気持ちが通い合ったとき、岬がほしい、と、思った。 人を好きになるということが、こういう感情に繋がることを初めて知った。 だが、男なら、好きになった相手を欲しいと思うのは、自然のこと。 気持ちのままに、お前を抱いた。 受け入れてくれた岬を、一層、好きになった。 岬のことを愛しく、大切にしたいと強く思った。 正直、今まで抱いた女には、抱かなかった感情だ。 だからと言って、岬を女の代わりと思ったことはない。 なら、岬は? オレは、オレの気持ちのままにお前を抱くけれど、お前も男だ。 男なら・・・ほしい・・・と、思うだろ。岬だって、例外じゃないだろ。 オレは、オレの欲望を押し付けたまま、岬の気持ちをないがしろにしているんじゃないのか?
「ボクの男としての本能を心配してくれているわけだ」 なるほどね・・・と、自分の行為に落ち度はなかったことと、二人の仲にヒビが入るような問題ではないことに、安堵の息をもらした。 ふぅ・・・。 「ほら・・・お前、辛そうなときあるし・・・」 「そりゃね」 根本的に受け入れる体の構造ではありませんから。 「はずかしい・・・って、言うときあるし・・・」 あまり思い出せないでくれる? 「イヤって、言うときも・・」 「それだけ?」 さえぎった岬に若林は、焦った。それでなくても、プライドの高い岬に男としてのプライドを捨てさせているのだ。 やはり、思いあぐねているだけで、口にすべきことではなかったのかもしれない。 はっきりとさせない方が、二人のためだったのかもしれない。 「じゃ、つまり若林くんは、ボクにこういうことをしてほしいんだ」 と、突然、寝ている若林の上にまたがり、腕を立て、顔を見下ろした。 「なんなら、ボクが組み敷いたっていいんだよ。キミの言う男の本能ってヤツで」 「あ・・・?」 岬は、そのまま若林の唇を塞ぎ、ゆっくりと首、肩と下ろしていき、若林の鎖骨をなぞった。 「お、おい・・・」 そっと、若林の脚に手をかけ、広げさせる。 「や、やめろ」 「でしょ?」 さっきの声とは真逆の茶目っ気を含む声に、やられたーと、一本とられたことが分かった若林は、そのまま形勢逆転をし、さっき岬が自分にしたように見下ろした。 「ね?この方が自然だろ?」 優しく諭すように言う岬。 「岬?」 「抱くとか抱かれるとかそんなこと、どっちがどっちだっていいじゃない。 ボクはキミの腕の中が好きなんだから」 「あぁ・・・」 「キミの腕の中は安心できる。ここにいていいんだって思えるよ」 「あぁ」 ここにいていい・・・・・転校を繰り返し、流れていく人間関係の中で、岬少年が一番に求めた場所。 岬の真剣な瞳に、若林は自分がバカなことを考えていたことに気がついた。
好きだからこそ、同じ大きさで好きでいてもらいたい。 好きだからこそ、感情の奥底まで、汲み取ってやりたい。 そう思うのは、ひとりよがりなのかもな。 考えるあまりに、時として、二人の有り様をズラしてしまうことがある。 人が人を好きになる。 オレたちは、自然のままに気持ちのままにこうなった。 お前は、オレの腕の中が好きだ、と言ってくれた。 なら、全身全霊で、お前を包み込む腕でいたい。
「相手がキミだからだよ。分かってる?」 「そうだったな」
やっと、いつものストレートに思いをぶつけてくる若林にもどった・・・と、自信に満ちた表情に岬も同じ笑みを返した。
「さて、若林くん?」 「あ?」 「キミの気がかりがなくなったところで」 「あぁ・・・バカなこと言い出した。 悪かった」
「もう一回しよう」
岬は若林を抱きしめる腕に力をこめた。
(おわり)
きゃああ!夜中なのに、何度叫びそうになったことか。 岬くんを気遣う若林くんに対して、若林くんを押し倒す岬くん、とか 「もう一回しよう」とか もう、想像しただけで素敵過ぎます。 プライドが高い岬くんの愛し方、というのをまた考えさせられました。
それに加えて、お祝いメッセージまで頂いてしまいました。 <真的「趣味の世界」、一周年 おめでとうございます! 一年で作られた量とは思えない、愛のぎっしりつまった作品の数々・・・ いつも楽しく拝読しております。 これからも、ばしばしぎゅっぎゅっと愛を込め、萌えを吐き出してください!! なお>
紹介しておいて何ですが、面映いです。 こんな迷走ブログですが、続けてきて良かった、としみじみと思いました。 なお様、ありがとうございました。 このご恩は一生かけても・・・とは申しませんが、 ばしばしぎゅっぎゅっと返していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
from past log<2009.9.11>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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