※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
小ネタのようなタイトルですが、違います。 いや、占い自体は存在するんですけれどね。 「いて座のO型とおうし座のAB型って相性最悪なんだって」 岬が母親の家で、何となく会話に困り、手に取った雑誌の相性占いにはそう書かれていた。100%まである中、20%はぱっと見た中ではダントツで最悪だったのだ。 「それで?」 その、相性最悪の相手を迎えに行った若林は聞き返した。若林の問いかけに、岬は助手席でうーんと伸びをする。 「そう言うと思った」 親交を持つようになったからと言って、自然に溶け込める訳はない。あの事故のこともあって、お客様扱いをやめない相手に、岬自身もそれ以上は馴れ合うことができない。お互いを気遣う、愛情のある関係でありながら、ひどく気を遣う相手、それが山岡家だった。それに比べて、狭い車内は自由に息が出来る。衝突も喧嘩もなかった訳ではないのに、この空間はひどく心地が良くて、岬は普段以上におしゃべりになる。 それに加えて、若林ときたら、予想通りの反応だった。岬自身、血液型はともかく、星座など気にしたことがなかったのだ。まして若林がそれを気にするようには見えなかった。いて座の方向に銀河がある、と誇らしげに言い、アルデバランをルビーのように掲げ、首飾りのような昴を有するおうし座と対抗するような人間ではあったけれど。 「だろ?そんなのいちいち気にしてられないぜ。大体、いて座のOとおうし座のABが相性抜群なら、井沢とも相性良いってことになるだろうが」 若林らしい、と岬は思う。同じ血液型や星座の人間などごまんといる。その中で、お互いがお互いを見つけた。 「ふふ、本当だね」 楽しそうな笑い声に、若林は岬の横顔を盗み見た。山岡家を訪れた後の岬は、いつもより甘えてくる。多分、家族になり切れない自分を意識してしまうのだろう。帰省した時の自分に通じるものがあると、若林は知らずハンドルを握る手に力を入れた。 「俺と岬は相性抜群なんだから」 占いなど関係なかった。理性も打算も超えるくらい惹かれ合って、一緒にいる。 「適合温度は違うけどね・・・」 岬の揶揄する通り、暑がりの若林と寒がりの岬では、クーラーの噴出し口の向きすら違う。 「あのなあ・・・」 言いかけた若林の声を打ち消したのは、ごく細い声だった。 「・・・でも、僕もそう思う」 言うなり、岬は窓の方に顔を背けた。こうして、一緒にいるだけで、自分の心を自由にしてくれる若林源三というひとに、会えて良かった。安心して自分を預けられる相手に、会えて良かった。 「お前に会えて良かった」 膝に乗せられた手に、岬は頷きながら、自らの手を重ねた。体温が伝わってくる。 相性占い、などでたやすく説明できれば良かった。どうして、と思うくらい好きで、必要なのだと重ねられた心が痛い。 「僕も」 何が相性、なのかははっきり分からない。ただ、おそらく一緒にいるだけで、こんなに幸せで、穏やかな気持ちになれる相手には、二度と会えないと若林は思う。それが相性というのか分からないけれど。 「さあ、帰ろうぜ」 「うん」 車は静かに夜の街を滑っていった。
(おわり)
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今日はめちゃくちゃ迷走しながら書きました。何回書き直したか・・・。 でも、星座の部分だけノリノリでした。 おうし座は宝石のような冬の星座の中でも目立って素敵です。 いて座は・・・地味だな。でも、いて座は夏の星座なので、是非ご覧くださいな♪
from past log<2009.8.23>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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