※二次創作及び原作とキャラクターに対する歪んだ愛情があります。苦手な方は回れ右でお願いします。
前回の続きです。 「岬、学校はどうしてるんだ?」 首を傾げている様は似合いすぎて、いくら何でも、男には見えない。俺の言葉の意味を察して、岬は首をすくめる。 「・・・あのね、女の子として通ってる」 周囲はやけに発育の良い子ばかりで、中身は男の岬には辛いらしい。しかも、更衣室で交わされる会話など、毎日拷問のようだと言う。女子更衣室には何があるというのか。秘密を知りたいような、知りたくないような。 「おかげで、しばらくは女の子と付き合いたいとは思わないよ。放課後にフランス人のチームに混じってサッカーするのが趣味になった位」 岬はため息混じりに言うと、俺の視線に気づいたのか、俯きかけていた顔を上げた。 「今日はありがとう、すごく楽しかった」 岬は本当に楽しそうに微笑む。プレー中もそうだったな、と思い返した。全開の笑顔で繰り出すプレーは見事だったが、何より幸せそうに見えて、何だか嬉しかった。サッカーでつながっている、と思えた。 「そうだな。岬も相変わらずで安心したぜ。・・・お前、チームには入らないのか?」 岬は静かに首を振った。さっきまであんなに幸せそうだった笑顔はそのままなのに、眼差しには深い影が刺すようだ。見ているだけで胸が締め付けられそうになるような、憂いに満ちた笑顔だった。 「サッカーだけする分には良いけど、チームには入りにくいから・・・。こんなに楽しくプレーしたのは久しぶりだよ」 岬は悔しいに違いない。本当なら、今頃はプロを目指してチームに入っているはずだ。ただ、身体は女性。助っ人ならばともかく、チームに入ればプライバシーはないのも同然だから、とっかえひっかえチームを変え、場所を変えて、ばれないように、深入りしないように振る舞ってでもサッカーを続けるのはさぞ悔しかろう。かといって、女子チームに入るには岬のプライドは高すぎる。 「岬、」 ふと思った。聞いてみたくなった。 「元に戻ったら、どうするんだ?」 岬は口元だけに笑みを浮かべた。静かな闘志をたたえた目は、いつもの通り輝いていて、澄んでいる。 「思い切りサッカーするに決まってる!」
(つづく)
すみません・・・。だんだんかわいそうになってきました。でも、声変わりはしないので、許してください。(何を?)
from past log<2008.10.12>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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