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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
洗濯
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

突発的に書いたものを上げてしまいました。

・・・ネタをお借りしちゃったHさん、ごめんなさい。
でも、後悔してません。

 岬の家に遊びに来て、今日で二日目になる。親父さんが一週間家を空けた隙に、オフを利用して無理矢理押しかけた。
「来るならちゃんと連絡してよ」
「・・・お前にだけは言われたくないな」
いつも不意打ちを食らわしてくれる本人とは思えない苦言を呈しながらも、岬はドアを開けてくれた。
「岬」
見るだけで幸せな気持ちになってしまう笑顔に堪らなくなって、俺は腕を伸ばした。
「あっ、もうダメだよ」
岬の抗議が始まる前に、俺は後ろ手にドアを閉めた。恥ずかしがる岬は可愛くて、他の奴にはとても見せられない。
「お邪魔します」
形ばかりの抵抗ごと華奢な肩を抱き締めた。

「・・・ちゃんと言ってくれたら、予定空けておいたのに」
岬は、クラスメートに本を借りる約束をしていたらしい。相手が午後から出かけるから、明日行くつもりだったのに、と岬はため息をつく。それでも、手を合わせた俺に、岬は
「仕方ないね、君は」
と自分のことを棚に上げて、微笑んでみせた。

 午前中に、と慌てて出かけた岬を見送って、しばらくすると、急に空模様が怪しくなってきた。パリにも夕立があるんだな、とバルコニーを見ると、風に揺れる洗濯物が見えた。

 取り込んでやったら、岬は喜ぶかな。岬の服だけらしいのを何げに確認してから、俺は身を起こす。腕に抱いた洗濯物は石鹸と太陽の匂いがして、岬そのものだった。
 そう思って一瞬油断した時だった。洗濯ばさみを外しかけていたシャツが風に煽られた。
「あっ!」
伸ばした手をすりぬけ、洗濯物はそのままバルコニーに散らばった。

 俺は洗濯物を拾い集めたが、その前に抱えていた洗濯物のことは忘れていたのである。

「若林くんっ!」
折り悪く帰って来た岬が見たのは、乾きかけのまま放り出されたり、バルコニーの床に散らばったりしている洗濯物だった。俺の名を呼ぶ岬の声はひどく低かった。
「岬、おかえり」
「おかえり、じゃないよ。一体何があったの?」
岬はそれでも、一旦は話を聞く人間だ。もちろん、その後判断を下しておもむろに怒る訳だが。
「ごめんな、岬」
だが、俺にも非はある。謝ってから、あまり言いたくはなかったものの、経緯を一通り釈明した俺に、岬は不思議そうに尋ねて来た。
「若林くん、君ん家洗濯機あったよね、確か?」
岬が首を傾げるのも無理はない。岬が泊まりに来た時、うちの洗濯機をもの珍しげに眺めていたのだ。
 うちの洗濯機は乾燥機付きで、干す必要はないのと、ユニフォームや普段着以外はクリーニングに出していることを説明する。
「・・・本当に、君ってお坊ちゃまだよね。そうすぐに謝られたら、怒るに怒れないよ」
あっさりとした口調で言うと、岬はその辺りの洗濯物を手際よく集めた。
「そうだろ?だから、岬さんみたいにしっかりした嫁がいてくれないと心配だろ?」
言い切った俺に、岬はさっきとは比べものにならないようなため息をついた。
「・・君ってさ、本当に」
困った顔をした岬の呟きの理由を知りたくて、顔を覗き込んだ。少し頬を染めた岬が可愛くて、もう一度抱き寄せたのは言うまでもない。

(終わり)

from past log<2009.8.2>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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