※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
一昨日の続きです。 若林くんの喉が動いた。男らしく太い首は喉仏や血管が目立っていて、もう、大人の男の人なのだと思う。・・・僕の方が半年も年上だとは思えない。
もう、あんな時間はなくて当然だ。
若林くんの家に遊びに行くと、二人で一緒に眠るのが当たり前になっていた。誰か友達の家に泊まる、なんてことは、よく考えたら小学生以来で、若林くんの面白い話を聞くのも楽しくて、嬉しい気持ちのまま眠ることの幸せさを思い知った。 「・・・岬は寝顔も可愛いんだな」 初めて泊まった時に、若林くんが言った。若林くんにしたら、何気ない一言に過ぎないんだろうけど、三年ぶりに会った若林くんは、まるで知らない男の人のような匂いがして、僕はものすごく意識してしまった。 「何言ってるのさ」 思わず語気が荒くなった。大きくかっこよくなった若林くんに、可愛いと言われるのはやっぱり腹が立つのに・・何故か嬉しいと思う自分がいた。 「はは、すまんな。でも、ぐっすり眠っててさ」 「そりゃ、ここまで何時間かかったと思うんだよ」 言ってから、本当に恥ずかしくなった。何時間もかけて、会いに来たのだ、と自覚してしまった。 「そうだよな、会いに来てくれたんだもんな。嬉しいぜ」 屈託のないその笑顔は、何故か心に沁みた。
それから、僕は何度も若林くんに会いに行った。小学校時代でも、家のことがあるからと、そう遊びに行く方でもなかった僕が、国を隔てた若林くんに会いに行ってしまうことに、僕自身少し驚いていた。確かに、若林くんは優しいし、話も面白いけれど、同じ小学校でもなければ、特に親しかった訳でもなかった。ただ、気が付けばすぐ近くにいる人だった。
それが変わったのはいつだろう。
若林くんはその朝突然僕の名前を呼んだ。僕はその声で目が覚めて、若林くんの様子を伺った。目が合った若林くんはそれはにこやかに微笑んだかと思うと、いきなりキスをしてきた。挨拶ではない、深いキスは初めてで、面食らう僕に、若林くんは寝ぼけたのだと釈明をした。 「じゃあ、良いよ。許してあげる」 唇を拭うふりをして、指先で触れた。ここに若林くんの唇が当たった。・・・嫌じゃなかった。ただ恥ずかしくて心の中に何だかむず痒い小さなトゲのようなものが残った。
若林くんは特別なんだ。他の人では考えられないことを、許してしまうくらい。
若林くんが寝ぼけたのじゃなかったら、良かったのに。僕のことが好きで、あんなキスをしてくれたのだったら。
平然としている若林くんに腹が立った。胸にトゲが刺さったまま、何もない振りをしている自分にも、嫌気が差した。
(つづく)
拍手ありがとうございます。 なんと続いてしまいます。だらだら長くなってしまって、後悔・・・。 『リンバロストの乙女』を読み返しました。 無関心の片親に苦労しながら学校に通ったけなげな主人公は、 上流家庭の青年と心を通じ合うが、彼には婚約者がいて・・・という話です。 本を読む度に、つい岬くんを思い出してしまうことが多くて、 妄想が広がりすぎて、いけません。
拍手お礼: 本田様、いつもありがとうございます。 あまりにもったいないメッセージにこちらこそ感動してしまいました。 先日のお言葉がなければ書けなかった話ですので・・・。 今頂いた幸せをいつか二人に分けてあげられるよう、頑張ります。 分かりにくいコメントですみません。 でも、また是非お話しさせて頂きたいと思います。 もし良かったら今度デートして下さい。 土曜企画にも反応ありがとうございます。あの若林くんは・・・インパクト強すぎです。
さくら様、いつもありがとうございます。 ヤンキー、おかしいでしょう? あの必殺技って強いんだか弱いんだか。 ただ、不良ルックの若林くんはめちゃくちゃ恐そうなんですけど・・・ブルブル。
拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。
from past log<2009.5.10>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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