※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 白いベールを被ってはいたが、すぐに岬だと分かった。ほっそりした肢体は、優美なラインのドレスに飾られ、その指先だけでうっとりしてしまいそうだった。 「岬」 ベールを僅かに持ち上げると、岬の顔がはっきり見えた。愛らしい顔はきれいに化粧を施され、いっそう美しい。 「若林くん」 首に手をやり、見上げる顔に一際鮮やかな朱唇を合わせる。これで誓いはかわされた。
目を開けると、岬がいた。優しく微笑む岬に、腕を伸ばすと、そのまま唇を重ねた。 「んっ・・・」 いきなりの接吻に、岬が戸惑って腕の中で暴れる。その抵抗で、夢でないことに気付く。それでも、夢の中よりもずっと甘い唇や匂いに、夢の続きだと思っていた。 「寝ぼけたみたいだ。・・・悪かったな」 「・・・良いよ」 目を伏せた岬は、はっきりと赤くなった顔で、唇を拭った。嫌悪ではなく、戸惑いの表情で唇に指先を走らせる岬はとてもきれいだった。
岬がドイツに遊びに来るようになって、しばらく経つ。話すことはたくさんあり、聞きたいことはそれ以上にあった。何より片時も離れるのが惜しい気がして、合宿のような感覚で、同じベッドに眠った。最初は岬が自分の隣に眠ってくれるのが嬉しかったくせに、今ではその小柄で柔らかい身体が、何より胸にのしかかる。 「もう、どんな夢、見たのさ」 二人で作った朝飯を囲み、コーヒーを口にすると、岬は言った。俺はいつも通りブラックコーヒーだが、岬はミルクをたっぷり入れたカフェオレ。 「結婚式の夢」 「は?」 俺の言葉に、岬が目を見開く。・・・確かに驚くだろうな。男の俺が、結婚式の夢を見て寝ぼけるなんて。 でも、その相手がお前だったと言ったら、どんな顔をするんだろうか。 「そうなんだ?相手はどんな人だった?」 「顔は分からなかったよ」 白いウエディングドレスに身を包み、俺に微笑みかけるお前がどんなにきれいだったか、伝えたい。
好きだと思ってから、随分になる。嫌われることを思えば、一緒に眠り、楽しく過ごすこの時間は貴重で、とても失うことはできなくて、気持ちに蓋をしてきた。それこそ鉄の意志で、固く封じてきた。 「・・・そうなんだ。気になるよね、そういうのって」 岬はそう言うと、コーヒーカップを傾けた。朝の光の中で、岬が微笑む。 「でも、若林くんのお嫁さんなら、きっと幸せだと思うな」 緩やかな角度で微笑を象るその唇を、もう一度塞ぎたいと思った。お前に、気持ちが通じるのならば、お前を手に入れられるのならば。 「ああ、幸せにするよ」 幸せにしたいよ。言いかけた言葉を苦いコーヒーごと飲み込んだ。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 今日の夕方にキリ番33,333だったのですが・・・。 またコメントいただけなかったので、次は35,000にします。 次は反応頂けると嬉しいんですけれど。
拍手お礼: なめこおろし様。いつもありがとうございます。 「高級クラブ」の宣伝文句にやられました。 当店ナンバー1の岬嬢はずっとW氏の指名が入っております。 毎日更新の看板は下ろしますが、できるだけ更新はしていきたいと思います。 いつも暖かいコメントをありがとうございます。頑張ります?。
アズマ様。先日は素敵な岬くんをありがとうございました。 相互リンクして頂けるとのことで、とても光栄です。 これからも宜しくお願い致します。
拍手ありがとうございました。励みになります。
from past log<2009.5.6>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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