※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。 夜に携帯電話が鳴った。この種のことにそうまめでもない岬が、唯一着信音を変えている相手の名前、がディスプレイに表示される。 「若林くん!どうしたの、こんな時間に?」 いつもの定時連絡は済んだのに、と訝しがる岬に、電話の向こうの若林の声は楽しそうに弾む。 「岬、窓開けて、俺の家の方、見て」 岬親子の住んでいる家に限らず、南葛市の中心部からは山の手に位置する若林邸はよく見える。岬は窓を開けると、目を転じ、思わず絶句した。 「若林くんっ、何、あれっ!」 とはいえ、夜である。声を潜める岬に対し、若林は声だけでも笑っている顔の想像がつきそうだ。 「こいのぼりだ。岬と話して思い出したから」 日本全国旅した岬も見たことのないような立派すぎるこいのぼりは、ライトアップされた夜の庭の上空を我が物顔で泳いでいる。 「うちもさ、兄弟みんな家を出てからは飾ってなかったんだけど、どうせだから飾ろうかと思ってさ」 若林はそう言ったものの、若林三兄弟は相変わらず屋敷にいないのだ。 岬の脳裏には、数日前、こいのぼりを飾ったことがないという話をしたことがよぎっていた。自家のこいのぼりすら望めなかった岬である。スーパーでもらったプラスチックの竿つきに始まり、折り紙での自作等を経て、中学時代には関心すら抱かないようになった、という話をしただけだった。それが。 「若林くん、僕に見せる為だったら、良いよ。・・・見るのは日本中で見てきたから」 あんな大きなこいのぼりが常に上空を舞っているのは顰蹙じゃないだろうか。それに、あの明るすぎるライトアップは。 「たまには飾ってやらないとな。まあ、風物詩だと思って楽しんでくれ」 ・・・あんな風物詩はありません。何の祭りかと思われかねないこいのぼりの乱舞に、岬は頭を抱えたのだった。
(おわり)
拍手ありがとうございます。 生誕祭(といっても、3日間だけ)。 ・・・おそらく、ジョンは不眠症だと思います。ああ、かわいそうな、ジョン。
拍手お礼は夜更新時に。
from past log<2009.5.3>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック
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