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今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
転校生
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。
旧拍手文です。

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 突然の出来事だった。
 目を開けると、そこには見慣れた自分がいて、俺は愕然とした。

 全国少年サッカー大会が終わった翌日、足の治療で病院に行った帰りに、岬と出くわした。岬は夕飯の買い物の帰りだと言い、二人で何となく近くの公園に向かった。
「お前こそ、足は痛まないのかよ」
「うん。僕は、大丈夫」
痛み止めにテーピングをしているので、サッカーをするには支障があっても、普通に歩く分には問題ない。それでも、座って話せる方が楽に決まっている。公園のベンチに二人で座った。午後になり、曇ってきた公園には野球をしている奴らも増え出したらしく、時々騒がしい声が、聞こえる。
 ざわつく公園が静まる度に、こうして岬と会えるのもあと少しだと思うと、急に寂しくなった。そんな風に思うのも自分には合わない気がして、あわてて打ち消す。
「そうか。良かった」

 言った時だった。野球のボールが岬に向かって飛んできた。岬もそれを察して動こうとするが、足の痛みで一瞬反応が遅れた。俺はその岬を庇おうと動き、その拍子に身体がぶつかった。
「わっ!」
「あっ!」
そして、座っていたベンチから落ちた、ところまでは覚えている。

 揺すられて目が覚めた。何だよ、と払いのけかけて、目を開けて、そこにいるのが自分だと分かった驚きはなんといったら良いんだろう。頭ががんがん痛むのも気にならない。
「若林くん」
俺の事をそう呼ぶ人間はそう多くない。そして、その口調には覚えがあった。
「・・・みさ・・き?」
訳が分からなかった。俺は頭を押さえようとして、手を伸ばしかけ、その手を見た。白い細い指には、やはり見覚えがなかった。岬、なんだ、と思った。
「・・・なんだよ、これ」
目の前の岬に聞いても意味がないのは分かっていた。さっき俺を呼んだ声は焦っている感じがしたのだ。だが、岬は静かに答えた。
「若林くん、よく聞いて」
発している声は、俺の声。落ち着いた岬の口調が更に説得力を増して聞こえる。
「僕たちは入れ替わったらしいよ。君の心が僕の体に、僕の心が君の体に」
俺は力強く言う自分の姿をした岬を見返し、そしてその言葉を実感した。何故か入れ替わったらしい。そして、原因は不明のようだ。その上、頭が非常に痛むのが気になる。どうやら頭を打ったらしい。
「そのようだな。とりあえず、俺の家に来いよ。そこで話した方が良いと思う」
周囲を見渡し、その方が良いと判断した。とても、冷静に話せることではない。俺の提案に、岬も一も二もなく同意する。
「うん。分かった」

(つづく)

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拍手ありがとうございます。
拍手更新しました。連載なので、前の話をいつもより早く置いておきます。
まだ疲れがとれません。ちょっと自重します。

拍手他お礼:
さくら様。いつもありがとうございます。
醤油色に塗って、私も楽しかったです。
立花兄弟の話・・・すごく悲しかったんです。
こういうのがあるから、原作読めないんです。後はそちらへ。

ユリコ様。いつもありがとうございます。
無条件降伏の感想嬉しかったです。
がつがつしちゃうのはやっぱり自重です。
臆病な岬くんがゆっくり歩み寄ってくれるのを待っている若林くんの心の広さは書きたいと思うんですけれど。

拍手のみの方もありがとうございます。励みになります。

from past log<2009.4.30>
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テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


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