fc2ブログ
今日のきみとぼく
源岬への愛だけで構成されております。
無条件降伏
※女性向け二次創作です。苦手な方はご注意ください。

 僕は臆病だ。

 言わなければならないことははっきり言う。それを保留していても、決して良いようにはならない。ましてや僕はそこに長くいられる訳ではない。大事な場所も友達もプレゼントも持って行ける訳じゃない。この手に抱えられるのは、大事な思い出とぬくもりくらいだった。だから、思いは伝えたい。そして、優しい記憶を連れて行きたい。
「ありがとう」
言う度に、もらった優しさを改めて感じるこの言葉が好きだ。
「また明日」
そう言う度に、僕はもう一回会えることを信じることができる。心は繋がっていることを思う。

 それなのに。

 僕はどうしても好きだと言えない。

 僕が好きだと言った途端に、魔法が解けたらどうしよう、なんて子供の頃には考えていたけれど、今はそんなことはないと分かっている。

 でも、もし否定されたら。好きじゃないと言われたら。お前なんて要らないと言われたら…僕が持って行ける唯一の思いすら、儚く消えてしまう気がして。

「好きだぜ。岬」

 それなのに、若林くんは簡単に言葉にしてしまえるんだ。僕が胸の中で押しつぶしている想いも、一番欲しい言葉も。

「・・・信じられない」

 友達との別れの他には、何一つ恐いものなどなかった僕の中に、こっそりと芽吹いた臆病を見られるのが恐くて、僕は目を逸らそうとするけれど。

「逃げられると思うなよ。お前だって俺のことが好きなんだぜ」

 強い口吻と瞳は僕を許してはくれない。君に会いに来ただけで、僕の勇気は途絶えてしまったというのに。

「信じろよ。俺の気持ちも、俺を選んだお前の気持ちも」

 その臆病ごと抱き取られて、臆病な僕も往生際の悪い僕も、素直じゃない僕も、すっかり観念してしまったのだった。

(おわり)

拍手ありがとうございます。
デフォな話を。
岬くんサイドで書いていても、すぐに若林くん目線で抱き締めたいと思ってしまいます。
今、若林くんサイドで書いたら、ガツガツしちゃいそうです。
自粛します。

以前、頂いた『MILK』に挿絵を付けました。
・・・これぞ蛇足。

from past log<2009.4.29>
スポンサーサイト



テーマ:キャプテン翼 - ジャンル:アニメ・コミック


コメント

コメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


トラックバック
トラックバック URL
→http://sukinamono11.blog63.fc2.com/tb.php/339-a195d3e1
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)